三日目の成果
「じゃあ、今日から魔力放出も含めて魔力のコントロールを覚えていくよ」
「はい!」
「まずは全身に普通に魔力を巡らせてごらん」
全身に魔力をくるくる回す。
「よしよし、忘れてないね。じゃあ手から魔力放出してみて」
「はい」
パッと手から光が散る。
「よしよし。じゃあ、魔力を小さく巡らせて」
「はーい」
身体に小さく魔力を巡らせる。
「手から魔力放出してみて」
「はい」
ぱちっと小さな火花みたいにほんのちょっと魔力が散った。
「出来てる出来てる。次は大きく魔力を巡らせて」
「はい!」
身体に大きく魔力を巡らせてみる。
「うんうん、じゃあ…ちょっと身体を支えるね」
「え、はい」
「よし。うーん、そうだな。あの木を目指して魔力を大きく放出してごらん。手もちゃんとあの木に向けてね」
「え」
あの距離で届くかな。
「…や、やってみます」
「うん」
パッと魔力を放出したら、思ったよりすごい勢いで光がビームみたいに出た。そして距離が離れていた木に見事に命中。木は、アリス先生の魔法なのかビームみたいになった私の魔力を弾いていた。
「ね、結構魔力のコントロールって重要だろう?」
こくこくと頷く。
「今日は出来る限り、魔力放出を自在に操れるようにするよ。完璧に出来るようになるまで毎日繰り返すからね」
「は、はい」
「そうだな…うん。魔力が切れたら僕の魔力を与えて回復するから、魔力切れは心配しなくていいよ」
「え、そんなこと出来るの?」
「僕たちは血の繋がった家族だからね。魔力の親和性も高いからさ。他人にやると拒絶反応もあるから基本おすすめしないけど」
魔力ってそんな感じなんだ。
「じゃあ、やってみよう!」
アリス先生の見守りの元、何度も何度も繰り返し大きく小さく魔力放出を練習した。
結果的には今日一日で、それなりに思う通りに魔力の量をコントロールして魔力放出出来るようにはなった。
でも、アリス先生曰くもっと緻密なコントロールが出来るらしい。
それこそミリ単位での調整まで出来るようになるまで繰り返すって。
…何日かかるかな。
「いやぁ、思ったよりコントロールは上手くなったね」
「えへへ」
「完璧に出来るようになるまで頑張ろうね」
「はーい!」
魔力が切れたら、人体はかなりしんどくなる。その前にアリス先生が毎回魔力を与えて補充してくれるからいいんだけど、やっぱり親和性が高いとはいえ違和感はあるらしく妙な感覚はある。
だからこの訓練が毎日続くのはもぞもぞするから早くコントロールを完璧にしようと誓う。
「じゃあ、今日はここまで。お疲れ様」
「アリス先生、今日もありがとうございました!」
「はい、どういたしまして」
にっこり笑うアリス先生のお顔を堪能しつつ、二人で手を繋いでパパの元へ向かう。
アリス先生と過ごす時間が増えたのも美味しいけど、やっぱりパパとの時間も取り戻したいから練習頑張ろう。




