携帯食とやらが気になる
「ともかく、アリス先生!素敵なプレゼントありがとう!」
「どういたしまして」
「お礼に、魔法が使えるようになったらアニメを再現して見せてあげるね!」
「おや、それは楽しみだ」
「パパも一緒に見ようね!」
パパは面食らった顔をしたけど、その後頷いてくれた。
「まあ、見てやってもいい」
「わーい!」
「さて、そろそろ夕飯かな?」
「さっさと食べて寝るか」
「アニエス、食堂に行こうか」
パパとアリス先生の間に入って、手を繋いで食堂に向かう。イケメン二人に挟まれてニタニタしてしまう。
元々アリス先生のお屋敷だからだろうか、アリス先生は久しぶりに帰ってきたのだろうに迷う気配もない。
「はい、着いた」
「じゃあ食べよー」
「アニエスは食べ盛りなんだからモリモリ食べてね」
「はーい!」
アリス先生はすっかり私の保護者枠になってしまったらしい。優しい先生で嬉しいです。
「ご馳走さまでした!」
「いやぁ、美味しかった。やっぱり携帯食よりこっちだね」
「アンタ、基本外では食べられればなんでもいい派だもんな…」
パパの呆れた目に、アリス先生はいつもどんな食生活なんだろうと不思議に思う。
「ん?ああ…僕は基本あちこち放浪してるから、食事は保存もきく携帯食ばかりなんだ。一応栄養バランスも優れてるんだけど、味が最悪なのが難点かな」
「へー…」
味が最悪ってどんなだろう。
「食べてみるかい?」
「やめろ、アニエスが吐く」
「そんなに!?」
びっくりだよ!
「あはは。まあ、アニエスにはまだ早いか」
「一生食わせない。ほら、お風呂に入って寝る時間だぞ」
「はーい…」
携帯食とやらが気になるけど、たしかにお風呂に入って寝る時間。子供だから眠気がくるのは早いのだ。その前にお風呂に入っちゃわないと。
「じゃあ、ちょっと早いけどおやすみ」
「うん、アリス先生もおやすみなさい」
「おやすみ、アニエス」
「パパ、おやすみ」
パパに屈んでもらって、頬におやすみのちゅーをする。
するとアリス先生は頼んでもないのにわざわざ屈んだ。
「アニエス、僕にもほら」
「えー」
「おんなじような顔なんだからいいだろ!それに血の繋がった家族じゃん!」
まあたしかにそうなんだけど。
でも一応今日が初対面なんだけど。
そう思うのに、パパとそっくりのお顔で期待した目を向けられると断る気にもならなくて。
「もう、アリス先生は仕方ないんだから」
ちゅー、とキスしたら嬉しそうなアリス先生。
「良い夢を見るんだよ」
「はーい、パパとアリス先生もね」
「うん、ありがとう」
「良い子だ」
パパに頭を撫でられてから、バスルームに向かう。
その後ゆっくりお湯に浸かってから、ぐっすり寝た。




