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【連載版】侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました  作者: 下菊みこと


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アニエス様にご加護を

私はトゥーサン・ユルバン・コライユ。このサフィール皇国の教皇。


この国では、ビジュー教という宗教が国教として定められている。


しかし、私が教皇の地位に就く前…この国では教会は権力を持ちすぎていた。


「恐れ多くも皇室と権力闘争を繰り広げるなど…先代は少し調子に乗りすぎましたね」


当時の記録を見ながら呟く。そう、先代の教皇は少し調子に乗っていた。


元々、皇室の名の下に自由な宗教活動を認められるという形だったというのに。


先代の教皇は、信者のためと嘯き教会の地位をもっともっと上にしようと画策した。


「そして、皇帝陛下の怒りを買った…」


皇帝陛下は、幼い頃の悲惨な事件により神への愛を失ったそうだ。


それだというのに目障りな動きをする教会を見れば、潰しにかかる気持ちはわかる。


教会にそれまで与えられていた様々な権利を剥奪し、瓦解した教会をそのまま潰そうとされた皇帝陛下。


「けれど、ジャック様が皇帝陛下を止めてくださった」


ジャック様は国教は臣民たちにとって心の拠り所であること。


国にとっても大切な存在であること。


権力は与え過ぎず、あくまでも自由な宗教活動を保証する程度なら問題ないこと。


それらを皇帝陛下に力説してくださったと聞いている。


そして皇帝陛下は、弟がそこまで言うのならと矛を収めてくださった。


「その代わり、やりすぎた先代は地位を引きずり下ろし牢屋に押し込められましたが…」


必要な犠牲だったと言う他ない。


「そして、ジャック様が一番野心がなさそうだと言って皇帝陛下に勧めた次の教皇が私」


そのおかげで、私は教皇になってしまった。


なってしまったという言い方は悪いとは思うが、本当にそんな気はなかったので私としてはいまでもびっくりなのだ。


「それでも。選ばれたからには迷える信者たちに神の救いと赦しを伝える他ない」


下手に欲を出さず、ただただ信者たちのためにこの身を捧げる。


それが神への奉仕であり、私を信じて託してくださったジャック様への感謝の表し方だ。


「それにしても…アニエス様は、本当にジャック様に似ていらっしゃる」


ふとアニエス様のお顔が頭に浮かんで微笑んでしまう。


きっと、ジャック様に良く似ていらっしゃるアニエス様なら領民たちを大切にする良い領主となられるだろう。


「アニエス様は皇帝陛下からも可愛がられていらっしゃる」


最初こそ酷い扱いを受けたと聞くが、皇帝陛下は一転してアニエス様を庇護された。


ならば教会としても全面的に支持できる。


「ジャック様とアニエス様…そしてもちろん、全ての信者たちに神の祝福がありますように」


今日も私は、ただただ祈るのみだ。

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