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【連載版】侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました  作者: 下菊みこと


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天使様は特別

僕はティボー・サシャ・サフィール。サフィール皇国の皇帝。


僕には可愛い弟がいる。ジャック・ギー・アメティスト。正確には従弟だが、僕にとっては愛おしい弟だ。


「ジャックは天使様と上手くやっているようだね」


「はい。一時は皇帝陛下のせいでどうなるかと思いましたが、なんとかなったそうですね」


「もう。リオルは意地悪だ」


この子は僕の乳兄弟で幼馴染で、そして執事のリオル。実は武術の心得もあって、実質護衛の役割も担っている。


「天使様に意地悪をするからです。私は事前に止めましたでしょう?」


「むー」


「まあ、天使様から見ればその場では止めなかった私も加害者でしょうけれど」


きっと本音では怖がられてしまっただろうと悲しそうなリオルに、ちょっとだけ悪かったかなと思う。


「…悪かったよ」


「これからは私の忠言もお聞きくださいね」


「わかったわかった」


姪っ子大好きおじさんだから、余計に天使様に嫌われると堪えるんだろう。


「あと、いい加減にジャック様離れも考えてくださいね」


「…ふん」


それはやだ。


だって、ジャックは「俺が従兄上の弟になる!」って自分から言ってくれたんだもの。


「…あの時、私がそばにいられたら」


「やめて。リオルは悪くないし、リオルが死ぬのも僕はやだよ」


「皇帝陛下…」


リオルが言ってるのは、僕の暗殺未遂の件。


幼い頃、弟と遊んでいた時敵国のスパイが宮殿に紛れ込み僕を狙った。


刃が僕を切り裂こうとした時、僕よりさらに幼い弟は僕を庇ったんだ。


目の前が真っ赤に染まって、それでも弟は僕の無事を喜んでから息を止めた。


犯人はもちろん捕まって死刑。スパイを送り込んだ国も父上が徹底的にすり潰した。けれど弟は帰ってこない。


「あの時ジャックとリオルがいなければ、僕は壊れてた」


「…陛下」


「ありがとう、リオル…ごめんね」


塞ぎ込み泣くことすら出来ない僕を、リオルは抱きしめて泣かせてくれた。リオルが僕を世界に繋ぎ止めてくれた。


その後ジャックは僕の弟になってくれた。ジャックが僕を立ち直らせてくれた。


…弟は、トマスは今でも愛おしいし恋しい。でも前を向けるのは二人のおかげ。


僕はまだ、この国を守るための存在でいられる。身内への依怙贔屓は、するけどね。


だからこそ、ジャックとリオルはそれぞれ別ベクトルだけど僕の特別。そしてそんなジャックの天使様もまた、僕の特別になった。


「…あーあ。天使様に嫌われたのは痛いなぁ」


「今更というものです」


「今からでもポイント稼ぎしなきゃ」


「少なくともしばらくは大人しくしているのが吉ですよ」


「…むー」


まあ、たしかに。


もうしばらく、大人しくしてないとね。

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