パパに甘える
「パパ!みてみて!どう?」
皇帝陛下からプレゼント攻撃にあった次の日、さっそく私はプレゼントのドレスや靴を身につけてみた。
色々複雑だけど、着ないわけにもいかない。
サイズも確かめる必要があるし、とりあえず一着ということでお試ししてみたのだ。
結果は怖いほどぴったりサイズだったけど。
これも魔法を使ったのだろうか。
「…可愛い」
「本当?」
「ああ。よく似合ってる」
パパはそう言って私の頭を撫でる。
「一つ気に食わないのは、あの人からの贈り物という点だが」
「あはは…謝ってもらったし本当にもういいよ。皇帝陛下に逆らうのは普通ダメなんだよ?パパ、気をつけて」
「ふん…」
パパと皇帝陛下は…なんか、よくわからない関係だ。
絶対皇帝陛下の方が偉いしパパでも逆らえない相手のはずなのに、皇帝陛下はなんだかパパに依存してる…ように感じる。
でも、なんかこの辺も直接聞くと地雷踏みそうなんだよなぁ。
「それより、せっかくおめかししたんだから一緒にお茶にしようよ!可愛い格好でパパとお茶する!」
「ふん。いいだろう。おい、支度をしろ」
パパがそう言えば、さっそくお茶の準備にみんなが動く。
パパの指示で、中庭でティータイムになった。
「今日の茶は…皇帝陛下からの贈り物か?」
「よくわかるね」
「これはあの人のお気に入りのものだ」
「あらぁ…」
わざわざ自分のお気に入りの茶葉を送りつけてきたのか。
いや、お詫びの品ならそれが普通だろうか。
「ああ、茶菓子もあの人の好きな焼き菓子だな。人の娘に自分の好みを押しつけるとは…」
「ま、まあまあ!すごく美味しいよ!」
にこっと笑う。それだけで急降下していたパパの機嫌が上昇するのがわかった。
「ふん。アニエスが気に入ったのならいいだろう」
「えへへ」
パパがいくら皇帝陛下のお気に入りとはいえ…いやむしろだからこそ、行き過ぎた態度は他の貴族の反感を買う。
それでも許されるほどの家柄ではあるし、パパもそれ相応の力は持っているけれど。
大好きなパパが誰かに何かされたら、私の心臓に悪いよ。
「パパ、だーい好き!」
ご機嫌取りついでに、パパにキスをする。
ほっぺにちゅーはもはや日課だけど、その度にパパは澄ました顔のくせにご機嫌が良くなる。
その顔も好き。澄ました顔なのに瞳が輝いているのがわかるのが本当に最高。
「俺も愛してる、アニエス」
「えへへ」
パパにちゃんと言葉をもらえるのは嬉しい。
親子って感じられるのはやっぱりいいよね。




