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私と死  作者: 南ゆう
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盲目の人

彼は元々目は見えていたが緑内障によって徐々に見えなくなり、今ではほとんど見えないということ。

元々見えていたから色の存在を理解できるということ。

現実は真っ暗なのに夢の中はカラフルだと言うこと。

目が覚めて自分が闇の中にいることを思い出すこと。

初めから見えない人は色の存在を理解しているだけだということ。

そう言った人に空は青色だと伝えることが出来ること

盲導犬は数が少なすぎてほとんどの人が順番待ちしていること。

誰かの支えがないと生きていけないこと。


それから数年間、緑内障という言葉や画面を見すぎると発症する可能性が高まるということに敏感になったことを今でも覚えている。未だに緑内障は怖いと恐れ慄いている。

今でも会話を覚えているということはそれほど衝撃的な時間を過ごしたのだろう。




お話は終わり昼食の時間がやってきた。

彼とともに食事をすることとなり、当番の生徒たちは慌ただしく給食を取りに行った。

他の生徒たちも束の間の休息に動き回っていた。

サングラスをかけ、両手を前に組んだ彼は微動だにせず教卓の横の席に座っていた。

私はまだ彼が何も見えないことを疑っていた。

何も見えないということを信じたくなかったのかもしれない。

そっと近づき彼の顔を覗き込むように見つめてみた。

彼は微動だにしなかった。サングラスの奥でひかる目は私が覗き込んでいる間も天井を見つめたままだった。

目が見える人なら私の行動を怪訝な態度で応酬してくると想像していたのに、彼の行動は違った。

その時初めて目が見えないということを理解した。

それと同時に何も見えないことへの恐怖が心を支配し、吐き出しようのない不安が体を重くした。


彼は食べる前に先生から耳打ちされていた。

献立や食器の位置を把握することで想像を広げ、健常者のように食事ができるようだった。

私は彼の行動一つ一つから目を離さなかった。

何も見えないはずなのにスプーンを上手に使い、食器を持っている。当たり前のことを当たり前にこなす姿に驚きを覚えたのはあの時が初めてだった。


食事が終わり全ての予定を終えた彼は帰って行った。白杖を左右に揺らし、あたこちに杖先をぶつけながらゆっくりと確実に教室から去っていった。

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