プロローグ
20xx年、かつて人間と呼ばれる種族が支配していた地球という惑星は、現在その時の姿を残してはいなかった。
人間は種族内での争いによって数を減らし、今では存在するのかどうかまで減ってしまった。
また動物自体が極めて少なくなっており、人間の栄華の象徴とも言える鉄筋で作られた建物には、現在の地球の支配者が誰であるかを主張するかのように植物が繁茂している。
そんな中、ある島の、人間がいた頃には首都と呼ばれていた地域の真ん中にそのモノはいた。
「今日も暇だなぁ。」
彼はつぶやいた。
彼の傍らに人はおらず、ただ、役目を終え、草木に侵食された自走車があるのみであった。
彼の名前はグフィーシュ。一年以上をひとりで過ごし、同じ日々を過ごしてきた。
彼は我慢強い方ではあるが、流石に一年ともなると少し寂しさを覚えており、昔の記憶にある人間というものに会いたくなって来たのである。
彼はまた呟く、
「ここの周辺にヒトがいないことは確認したけど、他の地域にはいるのだろうか。」
この、寂しさから生まれた素朴な疑問には彼を駆り立てる何かがあった。
彼は続けて、
「ここに止まっていても何も変わらない。変わらなければいけないのだ。」
このように確信した。
ここまで独り言として呟くとようやく彼はその重い腰を上げた。
「よし、旅に出よう。」
こうして彼の放浪旅は始まったのである。
初めての投稿なのですこしずつ書いていこうと思います。
短編の連続小説にする予定です。
よろしければお付き合い下さい。