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MD シャイニングフォース

MDのレトロゲームをプレイしてみた感想文です。

このゲームは面白かったです。

なんというか、タクティクスオウガと伝説のオウガバトルを足して3で割ったような(2ではなく3で)ゲームというか、オウガバトルシリーズの初心者版というか。タクティクスオウガに伝説のオウガバトルの戦闘画面が付いたものという表現が一番分かりやすいでしょうか。

バトルフィールドは35しかないですし、ユニット(一人)の数も30で、毎回、その中から10ユニットを選出してバトルフィールドに出すといったシステムになっています。さらに、まだRPGの要素も抜いていないため、ドラクエやFFみたいに普通にワールドマップや町のマップ上を動いて買い物や会話などをして、所謂ダンジョンやアジトみたいなところに入るとシミュレーション形式のバトルフィールドに切り替わるというシステムとなっています。

でも、これで良かったんじゃないでしょうか。オウガシリーズやフロントミッションみたいに地図上を駒で移動するタイプだと移動に迷いがなくて良いと言えば良いのですが、アラフォー世代の私たちにとってRPGで次の町に移動するっていえばドラクエみたいにワールドマップ上を歩いて移動して、町で毎回同じセリフしか言わないモブ町民と会話して、武器屋でワンランク上の武器を買ったり買えなかったり、そんなのこそ『あぁ、ゲームやってんなぁ』って感じがするものです。

流石にこのゲームはまだタクティクスオウガほど凝った作りには成熟しておらず、仲間はいくら死んでも教会に行けば何度でも復活するし、各キャラも漫画調にデフォルメされた顔だったりしますが、シミュレーションパートのシステムはタクティクスオウガとほぼ同じ、全く遜色ない完成度です。逆に『余計な』といっては語弊がありますが、オウガシリーズのようなALI、CFといったゲージが無いので、雑魚をひたすら潰すだけ潰してリターン(手前の町まで撤退して仕切り直し)したり、自動回復するボスにひたすら弱い弓矢を打ち込んで無限に経験値を稼いだりといったレトロゲームならではの鬼畜レベル上げなども出来るため、当時の所謂『裏ワザ』や『攻略法』まで全て堪能したいのであればこちらのゲームの方がお薦めです。当時、メガドライブってスーファミよりも格下みたいに見られていましたが、性能でいえば全くの互角。スーファミ人気で革新的なソフトを作るメーカー、クリエイターがみんなスーファミ側に行ってしまっていたため、ソフトを自社開発するしかなかったセガのソフトがなんとなくスーファミのソフトより一歩遅れているように思われてしまっていますが、ハードの性能は同じなので、ただソフト開発者の発想力、方向性の違いでタクティクスオウガはあんな風にリアルなシリアス路線になり、シャイニングフォースは少年漫画風で善と悪がハッキリした王道の物語としただけの事なんだと思います。

ストーリーはSFC伝説のオウガバトルとほぼ同じで、以下のようになります。

ある日、一人の少年(主人公)が浜辺に打ち上げられます。その少年は自分の名前以外何も憶えていない記憶喪失状態で、とりあえず近くにあったガーディアナ王国の城を訪ね、対応したガーディアナ王国軍の騎士団長バリオスという人物に保護してもらいました。

それから数年の月日が流れ、バリオスの元で暮らしていた少年は日々の生活の中でバリオスから剣術を習っていたのですが、その上達振りが尋常ではなく、この少年が一体何者なのかバリオスも大いに気にしていました。

この時期のガーディアナ王国は長年平和な時代が続いていましたが、ある日突然、隣国のルーンファウスト王国がガーディアナ王国への侵略を始め、両国は一気に緊張状態になります。

そしてある日、ガーディアナ城のすぐ近くにある遺跡にまでルーンファウストの部隊が侵攻してきているという情報を聞いたガーディアナ国王は騎士団長のバリオスを呼び、遺跡にいるルーンファウストの部隊を殲滅してくるよう命じるのですが、この時、バリオスは主人公の少年を王に紹介し「今回の作戦ではこの少年を隊長にしたい」と直訴します。当然、王も側近も猛反対しますが、バリオスも当然部隊に入り主人公を全力で援護すると説得して渋々ながら王の許可を得て、ゲームスタートというか最初のバトルフィールドが始まります。これが第一戦目となります。この時点でバリオスが認めるだけあって主人公はかなり強いですし、当然バリオスも強く、さらに城を出る前に3人の仲間も加わっているので、この戦いにはまず負けないです。要はこのゲームでのユニットの動かし方やコマンド選択の仕方などの基礎をプレイヤーに覚えてもらうためのステージであり、『負けない』事で次のストーリーに繋がっていく流れとなります。

遺跡にいた敵部隊をサクッと殲滅して城に戻ろうとすると、フィールドマップは敵だらけになっており、しかも遺跡に来る時に渡ってきた橋が落とされていて山を越えて遠回りで城まで戻らなくてはならなくなっています。ここは序盤でいきなりめちゃくちゃ長くて大変なシミュレーションバトルとなります。ここさえ乗り切れば後は楽なんですが、『ここで各ユニットの駒振りの最適な配置など徹底的に覚える』くらい気で行かないと、てきとうにみんな行けるところまで進めているだけでは確実に全滅してしまいます。攻撃と防御の高いユニットが斥候で敵を瀕死の状態まで叩いたら、弱いユニットを呼んでトドメを刺して経験値を横取りさせて強化する、僧侶系ユニットが斥候に追いついて回復し、回復した斥候ユニットはまた次の敵ユニットを瀕死まで叩きに行くという長期戦型シミュレーションの基礎的な流れを覚えさせるためのステージがこの第2ステージなのかと思います。そんなの分かってるというプレイヤーにとっては只々面倒くさいステージとなります。

そんなこんなでやっとの思いで城に辿り着いてみると、城は既にルーンファウスト軍によって征圧されておりガーディアナ王は殺害されています。王の亡骸を見て怒り狂ったバリオスは剣を振り回して暴れますが、そこに現れたルーンファウストの剣士カインによってあっさりと一突きで殺されてしまいます。手に暗黒の剣を持った圧倒的に強いカインを前に主人公達は身動き出来ず、カインはそのまま王座の後ろに飾ってあったガーディアナ王国の国宝『光の剣』をとって悠々と去っていきました。

その後、主人公達はガーディアナの隣国のアルターロン、リンドリンド、マナリナ、バストーク、ウランバートル、ワーラル、ルドル、プロンプトといった国々を訪ね、ガーディアナの滅亡やルーンファウストの侵略を伝え、協力を要請して、各国の優秀な軍人を集めたシャイニングフォースという部隊を結成してルーンファウストに突入して皇帝と黒幕のドラゴンを倒すというのがこのゲームのストーリーとなります。仲間との死別や別れも無く、ストーリーが分岐するような選択肢も無いので、最初から最後まで誰もが同じストーリーを見る一本道の王道なストーリーなゲームとなりますが、このストーリーが非常に良く出来ているため途中で飽きたりする事は無いと思います。

各国を巡る旅の途中、海賊から巡航船を取り戻したり、ルーンファウストによって占領されている村や港を奪還したり、船が故障して人魚の島に漂着したり、ルーンファウストの部隊と間違われて正規軍に襲われたり、昔ドラゴンを封印した神々の武器を取りに塔に登ったり。イベントの量もストーリー全体の長さも普通のRPGと同じくらい盛り沢山で、それぞれちゃんと話の筋も通っているのが凄いです。真面目。

ただ、これだけストーリーが長尺になると、普通のRPGであれば後半には各ユニット(キャラクター)のレベルが上がり過ぎて数値が全て頭打ちになったりしてしまうところですが、このゲームは非常に面白いLVシステムを採用していて、各キャラにはクラス(ジョブクラス)が二段階用意されていて初期クラスはLV20で頭打ちになり、上位職にクラスチェンジするとLV1からやり直しとなります。ただ、後半の強い武器は上位職でないと装備出来なかったり、上位職はLV99まで上がるので、途中でどうしてもクラスチェンジする必要が生じるようになっています。つまり、長尺なストーリーでそのままLVが上がっていったら後半でみんな頭打ちになってしまうので、中間あたりでLVを1に戻さねばならない必要性を作って頭打ちを回避しています。まあ、プログラムでコロッとみんなLV1に戻してしまうような場面を作ってしまえば簡単だったのでしょうけど、話の流れを崩さずにプレイヤーの任意のタイミング(LV10〜20の間)で、任意のキャラクターを選んでLV1に戻せるようにしたのは良いアイディアだと思うし、どのレベルでもLVアップに必要な経験値は100で固定、経験値は『ダメージ×(2÷レベル)』という単純で秀逸な経験値獲得システム(例えばLV1のキャラが敵に10のダメージを与えたら獲得経験値は20、LV10のキャラが同じ敵に10のダメージを与えても経験値は2しか得られないという計算式)により、ザコ狩りでLVアップさせづらいプログラムまでしっかりと構築させてあります。

こういった旧世代の、ある意味機械的ともいえるような試行錯誤のプログラムを垣間見るのもレトロゲームの楽しみ方のひとつです。

全体としても完成度が高く面白いゲームでしたので、お薦め出来ます。

普通に面白いゲームだと思いました。

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