コント「雰囲気のいいラーメン屋」
コント「雰囲気のいいラーメン屋」
店主……ボケ お客……ツッコミ
以下、店主を『店』、お客を『客』とさせていただきます。
客「へぇーこんなとこに新しいラーメン屋出来たんだ。店の雰囲気はいいな。入ってみよう」
店「いらっしゃいませ! どっからどう見ても一名様でよろしいですか?」
客「失礼な言い方だな! 一人ですよ」
店「こちらのカウンター席どうぞ」
客「えっと……じゃあラーメンひとつで」
店「すみません、後ろの食券からお願いしていいですか?」
客「あっ、食券システムなんですね」
客、販売機まで移動。
客「あれっ? これお金入れるとこないな……とりあえずボタン押してみるか? 『ラーメン』っと」
店「お客さん! 今、『ラーメン』のボタン押しました?」
客「はい、押しましたけど……」
店「かしこま! ラーメン一丁!」
客「いや、食券の意味! 口頭のが早いじゃん!」
店「ラーメン入りましたー。ありがとうございまーす。喜んでー」
客「あっ、他にも従業員いるのかな? お店の裏とかに」
店「いえ、私一人です」
客「一人かい! いかにも誰かに伝えてた感じだったから」
店「私、雰囲気を大切にしてるんで。それがこの店のモットーなんで」
客「たくさん従業員がいるテイでやってるのね。紛らわしいな」
店「ちなみにお客さん、ラーメン大盛りにしときます?」
客「サービスですか? お腹空いてるし、大盛りにしちゃおうかな」
店「かしこま! プラス1000円になります」
客「金取るのかよ! しかも1000円とか高っ!」
店「何言ってんですか、お得ですよ!」
客「えっ? 得なんですか? ラーメン一杯いくらなんです?」
店「600円です」
客「どこが得なんだよ! あ、もしかして大盛りがビックサイズってこと? ラーメン何杯分とか」
店「いえ、大盛りは通常の1.5倍ですね」
客「何それ! めちゃくちゃ俺損じゃん!」
店「だから言ったじゃないですか。得ですよって…………私がね」
客「そこは普通客側をお得にするんだよ! 何、ぼったくろうとしてんだよ!」
店「お客さん、それにしてもよく私の作った罠に引っ掛かりませんでしたね」
客「自分で罠って言っちゃったよ」
店「もしやお客さん……東大卒の方ですか?」
客「いや、こんなの小学生でも計算できるわ! バカにしてんのか、あんた!」
店「まぁまぁ、そう怒らないでくださいよ。ほら、どんぶり勘定ってやつですよ。ラーメン屋だけにね」
客「……別に上手かねぇよ。そんなんで誤魔化せると思うなよ!?」
店「無理でしたか……かしこま!」
客「おい、それにその『かしこま』ってやつやめろ! さっきから腹立つんだよ!」
店「えっ? 何かおかしいですか?」
客「ちゃんと最後まで言えよ! 普通は、『かしこまりました』なんだよ! せめて、かしこま“り”ぐらいは言えよ!」
店「そうですか……“り”!!」
客「“り”だけ言ってどうすんだよ! 意味分かんねぇよ!」
店「あぁ……承知いたし!」
客「新しいの出てきちゃったよ。もうだめだ、この人……」
店「まぁまぁ、そうイライラしないでくださいよ……ラーメン屋だけにね」
客「…………何にもかかってねぇじねぇか! ちょっと考えちゃったよ! それにしてもあんた、さっきからずっと俺と喋ってるけど、作ってるの? ラーメン?」
店「何言ってんですか。当たり前じゃないですか。はい、お待ち! ラーメン一丁!」
客「なんだ、ちゃんと作ってたんだ。って……何これ? どんぶりだけじゃん。中身何も入ってないけど?」
店「あれっ? 言いませんでしたっけ? 私、雰囲気を大事にしてるって……だから、このお店も、ラーメンの中身も、お届けするのは全部、雰囲気です」
客「これじゃただの、おままごとじゃねぇか! もういいよ!」
ありがとうございました。