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戦国野望  作者: 丸に九枚笹
第五章
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第五章 75話 須坂練兵場と選定

1554年1月6日


今日は六神隊と中村式雑賀隊の選定のために須坂練兵場に来ている。


大峰城の建設の際に町割りをし直したため、昔の、調練のために作られた馬場は取り壊され、大峰城三ノ丸東門から出て、さらに東に進み千曲川を渡った、須坂の村山の辺りから須坂にかけて、昔の何倍にもなる練兵場を作った。ここには兵の宿舎もある。

馬を走り回らせることができる広い馬場に、何棟もの武道場、何人もが同時に射撃できる弓道場、鉄砲訓練場がいくつもある。

兵たちは、休日以外はここで個人の武術や馬術、集団戦法の訓練をしている。


兵士の宿舎は、三階建ての建物が五十棟。一つの階に、四畳一間の一人部屋が、扉が向かい合った形で二列に五十部屋。つまり、一つの階に百人、一棟三百人。五十棟合わせると一万五千人までが収容可能。二棟に一つの割合で大浴場が付いている。食堂は大きなものが場所を分けて三つ作られた。

ここはいわゆる独身寮だ。結婚して家族がいる者は城下から川を渡って通ってきている。ここに住んでいない者も、大浴場や食堂を使えるようにしてある。


休日はここに住んでいる者たちも、川を渡って町に行ったりしているようだ。


この須坂練兵場や兵たちにはかなり金をかけている。建築費用もすごかったが、維持費もすごい。兵たちはここに住んでいない者も全て、衣食住が全て保証され、給料も出るのである。ここに関しては、建物修理費や、掃除や食事等の人件費もかかる。食費もかかる。服や武器等もどんどん壊れるのでそれにも金がかかる。教官は、中級武士が行っている。

金は浅川園があるからなんとかなっている。浅川園の売上は上がり続けているようだ。売っている者が消耗品ばかりだったのがよかった。まあ、それは今は関係ないが。



俺たちはここに来るにあたって、数日間泊まり込みで行うことを覚悟している。

選定方法は、兵たちにまず、六神隊に入りたいか、入りたい者はどこの隊に入りたいかまで希望してもらった。命をかけるので、配属された後にあっちの隊がよかったのにということがなくなるようにした。

そして、希望してくれた兵を俺たちが一人一人面接し、手合わせをして選んでいくことにした。

細かいところは各隊に任せた。最終的に決めるのは各隊の隊長に権限がある。

それくらい慎重に選ぶのは、この隊を、少数でも戦の局面を変えられる程の精鋭部隊にするためだ。



希望してくれた兵たちは青竜が一番多くて千五百、他はだいたい千弱くらいずつ。これを青竜隊五百、他の各隊三百まで絞る。倍率三倍。そんなに高くないのは、単純に年齢制限を二十五歳としたからだ。

七年前に始まった募兵で集まり、調練を続けている者たちも、当時二十歳だとしたらもう二十七になっている。

だいたい兵たちの平均年齢が三十二、三歳くらい。

まあ、そもそもここに残っている兵たちが、何十倍もの脱落者たちがいた中から選ばれた者たちなので、倍率が低いから簡単に選ばれた者だということもない。脱落者たちが鉱山で働いた方が楽だと言うくらいの調練をしている。



思ったより多くの者が希望してくれたと思う。


それとは別に、中村式雑賀隊の方は、三百の募兵に対して二百弱しか希望がなかった。

率いるのが新参だということ、あと、手柄が分かりにくいというのが理由みたいだ。そういえば川中島の戦いのときもそんな話が合った。

まあ、これは二人が実力を見せることと、隊が実績を上げていくことで少しずつ増やしていくしかないな。

だからと言って二百人全てを採用することもできないし。

こちらの選定は完全に二人に任せた。孫一と源左衛門はもう完璧に中村式を使いこなしている。

これが百でも揃ったら驚異的な部隊になるだろう。



青竜では、上野、大蔵と面接した後、又左衛門、正左衛門、作左衛門が手合わせを行い、その後、備前、肥後、陸奥と面接、手合わせを行い、最後に俺が面接と手合わせをすることにした。三段階だが、一次、二次、最終というわけではなく、三回のチャンスを与えるという形を取った。誰かがダメだと思っても誰かがいいと思うかもしれないためである。結果、俺は千五百人と面接を行い、手合わせをすることになった。


朝早くから夕方遅くまでやって、一人十五分かけるとして一日だいたい四十人から五十人。四十日くらいかかることになるが、仕方ない。もし選びたい者が多かったら、五百人じゃなくてもいいかな。


そんなことを考えながら、各隊選定を始めた。


始めてみると、さすがに大峰兵は若くても強い。そして皆面接してみるとちゃんとしている。

二十五歳の者もいれば、まだ十五歳、六歳の者もいる。頭抜けた実力者は文句なしにすぐに合格にするが、迷ったとき同じくらいの実力者がいた場合、どうしても伸びしろを考えて若い方に目がいってしまう。それでも経験を積んでいる者の方がいいことも多いし、難しい。



やっと一日目が終わった。今日は始めるのが遅かったので面接、手合わせできたのが二十八人。

明日は早朝から始めよう。



俺たちの宿舎は兵たちとは別に大峰家の一族重臣が使う建物があるので、そちらに入った。

先に大浴場で汗を流し、食堂に来た。

ここの賄い方が食事を出してくれる。



武蔵「兄上、お疲れ様です。どうでしたか?」


信輝「おう、お疲れ。疲れるね。でも皆すごい優秀な者ばかりだよ。」


武蔵「そうですね。期待以上です。私なんかが選んでいいのかと思ってしまうくらいです。」


信輝「それはいいだろ。こちらも命預けるわけだから。どうやって選ぶことにした?」


武蔵「私は、飛騨と相模と三郎兵衛にある程度面接と手合わせをしてもらってから、その情報を元に全員と私が面接して手合わせをして最終的には私が決めることにしました。」


播磨「お疲れ様です。武蔵兄上、私もそうしました。」


信輝「おう、播磨お疲れ。」


近江「殿、なんだか久しぶりのような気がしますね。」


下総「疲れました。」


信輝「今朝会ったから。でも長い一日だったな。」


近江「私も武蔵が言ったような感じでやってますよ。さすがに、淡路、兵部、左近が絶対にないと評価した者には会わないと思っていますが、今日はそんな者はいませんでした。」


下総「うちもそんな感じです。これ三、四十日くらいかかりますね。」


越前「皆さんお疲れ様です!」


信輝「越前、ちゃんとやってるか?」


越前「やってますよ!うちは若い者が多いです!根性がある者がいいので、とりあえず全員走ってもらってます!明日も朝から走ります!我々も一緒に走ります!そうすることで一体感も出てきます!何日か走って、残った中から面接と手合わせをしていきます!根性が大事です!」


播磨「まあ、そういうやり方も間違いではないか。」


下総「面白いことやってるな。うちも走ろうかな?でもうちは伊豆がいるから、手合わせは厳しめにやるからな。」


信輝「選び方もそれぞれだから、隊の特徴もそれぞれになっていいんじゃないか?同じにする必要はないし。」


武蔵「そうですね。この隊で兄上のために戦えるように頑張って選びます。」


越前「私も兄上のために!」


近江「そうですね。皆、殿のためにと考えてやってますよ。」


下総「まあそれは皆そうだろうねぇ。」


播磨「はい、明日からもしばらく頑張りましょう。」


信輝「ああ、ありがとう。明日からも頼むよ。」


一同「ハッ。」



たまたま各隊の隊長が集まったが、皆よくやってくれているようだ。


と、思ったけど、周りには皆もいるから、わざと隊長だけにしてくれたのかな?

皆にも感謝だ。


明日からも頑張ろう。



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