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戦国野望  作者: 丸に九枚笹
第一章
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第一章 6話 八善屋と安倍家

1543年3月18日夕方


松若丸「と、いう訳よ。」


評定が終わった後、いつものように俺の部屋に二人に来てもらい今日の朝からの出来事を話した。


竹千代「『神託』効果すごかったな」


辰千代「めっちゃ効果あったな。まあゲームだからってのもあるだろうけど。」


竹千代「まあそうなんだろうけど、全力で楽しむためにもゲームだからって思うのはなしにしようぜ。」


松若丸「そうだね。」


辰千代「了解。」


松若丸「で、話したようになったから上泉秀綱にも『神託』お願い。」


辰千代「わかった。海野一族と長野業正にはもう使ったから、後は上杉憲政と上泉秀綱に使うわ。あと誰かいる?」


竹千代「武田と長尾の切り崩しでもやっておくか?あと織田、豊臣、徳川の家臣で有名になりそうな人をあらかじめ引っ張っておくとか。」


松若丸「いいね。今後できるようだったら考えよう。」


辰千代「わかった。」


竹千代「あとはどうする?」


松若丸「明日、上州行きの準備のために室賀の八善屋が館に来るらしいから、顔だけ繋いでおこう。あと、安倍隠岐と水路、水車、堤防の具体的な相談をしよう。」


辰千代「そうだね。『交渉』と『技術開発』使ってみたいし。」


松若丸「明日は『交渉』はまだかな。売る物も買う資金もないし。先に『技術開発』でさ、水車の設計図描いてよ。」


竹千代「あと堤防は?地図見て考えよう。」


松若丸「そうしよう。」


辰千代「どこにどうする?」


松若丸「水車でさ、千曲川よりも高いこの辺の土地に水路引いて、この田畑にも何にもならない場所を開拓できたらいいじゃん。そのための大きめの水車をお願い。堤防はどんな感じにする?」


竹千代「とりあえず今の川が氾濫しないようにでいいんじゃん?水路のところを上手く開けてさ。それだけでもこの時代なら充分だろ。」


辰千代「どこにどう配置するかは別に考えるとして、水車はこんな感じで『技術開発』使って描いてみたけど、どう?」


竹千代「すごいな。今のこの漠然とした会話でよくこんなん描けるな。『技術開発』すごいな。さすが。」


松若丸「いいね。あと堤防もお願い。これをどこにどう配置するかも考えよう。」


辰千代「堤防はこんなんでどう?自分で言うけど『技術開発』すごいわ。作りたい、描きたいってものを思い浮かべて『技術開発』使うと設計図が浮かんでくる!」


竹千代「おーすごいな!」


松若丸「ありがとう!堤防はこんな感じで、ここに水車置いて水路はこんな感じでどう?」


辰千代「ここはこうの方が良くない?水車も作れるなら一つじゃなくて、いくつか作って何箇所からか流した方がいいと思う。」


竹千代「じゃあここはこうしたら?」


松若丸「じゃあそれでいこう。だいたいまとまったな。これを明日、安倍隠岐に見てもらおう。」


竹千代「そうだな。じゃあ今日はここまでで。」


辰千代「また明日。」





1543年3月19日


いつもの学問、稽古の後、屋敷にいた商人に時間をもらって、千凛丸に俺の部屋に呼んで来てもらった。



甚右衛門「若様、初めて御意を得ます。八善屋室賀甚右衛門と申します。」


松若丸「我が家の依頼で忙しいところ申し訳ございません。松若丸と申します。こちらがご存知のように室賀千凛丸、それから山下兵庫が嫡男の竹千代丸、中村主計が嫡男の辰千代丸です。以後、宜しくお願いします。」


4人で頭を下げる。


甚右衛門「これはこれは丁重なご挨拶痛み入ります。本日はどのようなご用件で。」


松若丸「本日は八善屋について、支店の場所や取引がある家、取り扱っている商品についてや、商売について教えてもらいたいと思ってお呼びしました。」


甚右衛門「畏まりました。取引相手については一部申し上げられない家もありますが、できる限りお話ししましょう。」



八善屋室賀甚右衛門は、35歳。先代から急速に規模を拡大してきた八善屋の四代目。


この後、八善屋についてや商品、現在の商売についてかなり親切に教えてもらった。八善屋は本店を善光寺門前町に置き、出羽の酒井、越後の直江津、越前の三国湊、京、堺、伊勢の大湊、駿河の清水湊、相模の小田原に店を構えている。どれもかなり大きな店で、それぞれの店の近くの大名家や公家、朝廷とも、一部付き合いがある。


麻、和紙から始まった商売は、武器武具、食品、塩などまで手広く何でもやっているらしい。この八善屋甚右衛門との付き合いはかなり重要になりそうだ。


甚右衛門「もし何かご用がございましたら、本家の主家である大峰家のためならば、何でも協力致します。ご入用な物も極力融通させて頂きます。私は全国を行き来しておりますので、その際には、善光寺本店にいる番頭の利助に申し付けください。よく言い聞かせておきますので。私かいるときはもちろん私に申し付けください。」


松若丸「忝い。ではその際にはこちらから善光寺本店に人をやる故、利助殿にご足労頂くとしよう。宜しくお願いします。」


甚右衛門「はい、今後とも宜しくお願い致します。」



八善屋甚右衛門は仕事に戻っていった。

これで商人との繋がりは持てた。これから開発した物を色々と売ってもらおう。



次に呼んだのは、祖父の弟、安倍主水正の子、安倍隠岐守信兼。安倍家はかなり進んだ技術の知識を持っているらしい。近隣の水田開発に着手中。


安倍隠岐「若殿、面白いものがあるとは何でしょうか。」


松若丸「隠岐殿、忙しい中申し訳ございません。これを見て欲しいのです。」



そう言って水車の設計図、堤防の設計図と、その水車を設置する位置、千曲川の堤防の位置、千曲川側からの水路をどこに引くかを描き込んだ地図を広げた。



安倍隠岐「これは!水車ですか!このように精巧なものを誰が!この堤防も今我らがやろうとしているものよりはるかに優れていますな!水路もこの方が!」


松若丸「見ただけでわかりますか。さすがですね。これはここにいる辰千代が描いたものです。まだ童が描いたものだから、実地をわかっている隠岐殿に見てもらいたくて。」


安倍隠岐「これは童の遊びの次元ではないですぞ。これがこの通り実現できれば領内の石高は5倍以上にはなりましょう。さっそく取り掛かってよろしいでしょうか?」


松若丸「そうですか。それはよかった。では頼んでもよろしいですか?」


安倍隠岐「はい。ありがたく。これは殿にもご報告させて頂きます。きっとお喜びになるでしょう。辰千代殿、もしまた何か思い付いたら是非教えてくれ。若殿も宜しくお願い致します。では、失礼します。」



まだ話したいことはあったのだが、余程興奮していたらしく隠岐殿は足早に出て行った。




松若丸「ふぅ、とりあえず商人の方も、開発の方も上手くいきそうだな。『交渉』はまだ使えなかったけど『技術開発』もかなり良さそうだね。」


辰千代「よかった!」


竹千代「よかったな。」

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