表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国野望  作者: 丸に九枚笹
第三章
45/191

第三章 39話 殿中作法と政敵

1550年8月2日


翌朝、義藤様の小姓が呼びに来てくれた。


俺たちは大広間へ通された。

大峰館よりちょっと広いくらい。

上段がまだ空いていて、両脇に幕臣が並んでいる。


『鑑定』を使ってみると、三淵晴員殿、三淵藤英殿、大舘晴光殿、和田惟政殿、一色藤長殿、蜷川親長殿、細川藤孝殿だった。

こういうとき『鑑定』便利。細川藤孝欲しいな。まあ無理だけど。


俺は下座に、俺の家臣たちは次の間に通された。

貢物も次の間に積んで並べた。これでもかと奮発して持ってきてもらった。


昨日やったけど、改めて俺らが挨拶をということなんだろう。


少し待って上段の横から人が入ってきた。


平伏している俺は何も見えない。ってか遠い。


何人か入ってきたようだ。


「皆、大義!」


義藤様の声だ。


「昨日は皆ご苦労であった。皆の奮迅の働きにより三好勢を駆逐で来た。だが、まだ油断はならない。桂川の向こうには昨日の軍勢の何倍もがまだいるのだ。昨日の勝利に驕らず気を引き締めるように。」


なんだ。誰だ喋ってんの。細川晴元殿か?もう三好勢はいないし、それにお前昨日何もしてないだろ。


細川晴元「本日は、昨日の戦で三好長逸、十河一存を討ち取った者が挨拶をしたいと来ておる。では公方様。」


いちいち腹立つな。お前に挨拶に来たんじゃない。


義藤「まずは、昨日は皆よくやってくれた。この勝利をきっかけに我が足利家も再び隆盛を取り戻したい。そこで余は名を義藤から、義輝と改めることにした。皆。これからもよろしく頼む。」


一同「ハハッ。」


おー、義輝様になった。


義輝「大峰松若丸よ。面を上げい。」


松若丸「ハッ。」


上げちゃダメなんだよな。顔は下を向いたままだが、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ体を起こした。


義藤「近う寄れ。」


松若丸「ハッ。」


これもこのままの体勢で中腰で進んで、行き過ぎないように、半分くらいと。完璧。なはず。


細川晴元「では、ご挨拶を。」


うるさいな。するけど。


松若丸「ハッ。信濃水内群大峰より参りました、大峰民部大輔が嫡男、大峰松若丸と申します。本日はお目通りが叶い、恐悦至極に存じまする。ささやかながら献上させて頂きたい物をお持ち致しました。お納め頂ければ幸いにございます。」


義藤「うむ。大峰は関東管領、山内上杉氏の別れらしいの。上杉氏とは色々あったが、足利幕府を開かれた我が祖、持等院尊氏公の母上も上杉氏だ。余とそちは同じ血が流れているやもしれぬな。その持ってきた物をこれへ。」」


昨日は聞かぬ名って言ってたのに調べてくれたんだ。義輝様の優しさか。そういうもんなのか。

でも、善政とか川中島の話は聞こえてないのかな。まあ、そういうもんなのか。


松若丸「もったいない仰せ。ありがたき幸せにございます。ではこれへ。」


千凛丸たちが運んでくる。


一同「おー!」


思わず声が上がった。そりゃこれだけあればな。


松千代「我が領地で作っております、清酒、焼酎、ワイン、椎茸、芋、朝鮮人参、葛根湯、砂糖、生糸、綿をお持ち致しました。金子は五万貫を献上いたします。」


義輝「なんと!そんなにか!そちの忠心受け取った!」


松若丸「ありがとうございます。今後とも宜しくお願い致します。」


義輝「うむ。余からも返礼をせねばな。あれを持ってまいれ。」


「ハッ。」


義輝様の小姓が恭しく持ってきた。


何だろ?


義輝「色々と考えたのじゃが、今の余にはこれくらいしか渡すものがない。受け取ってくれぬか。」


そう言って義輝様は、刀にしては少し短めの、脇差にしてはちょっと長い刀をくれた。


松若丸「ありがたき幸せ!」


今度は何だろ?今度こそ天下五剣かな?


義輝「これは我が足利家に伝わる来國行の脇差じゃ。不動国行と呼ばれておる。少し長いが、そちなら脇差として差してもよかろう。」


マジかよ!九字兼定の次は不動國行!急に腰が豪華になった!


何か恩返しをしなくては。

三好家と交渉して山城国くらい取り返すか。

無理か。

考えよう。

まずはお礼を。


松若丸「ハッ。ありがたく!」


義輝「松若丸たちにはしばらく余の側にいてもらおうと思っている。家臣としたいが、まだ領地がないゆえにの。皆宜しく頼む。」


細川晴元「それはいかがなものでしょうか。どこの馬の骨とも知らぬ連中を城内に住まわせるなど。」


とことん邪魔してくる気だな。


義輝「晴元よ、昨日の戦でも松若丸はそちよりも余のために命を懸けて戦ってくれたぞ。その様な者に害意などあるわけがない。」


細川晴元「ぐっ、そうでございますが。」


義輝「決めたことじゃ。もうよい。では、このまま今後の方策を話し合う。本日は松若丸たちは下がってよい。大義であった。」


松若丸「ハッ。」




義輝様言ってくれるな。晴元に睨まれることになったけど。

この晴元って人、『検索』で調べたけどよくわかんないな。もともとは三好長慶の主なのか。管領じゃなかったって書いてあるものもあるし、とりあえず、生涯戦い続けて何も得られなかった人みたいだ。今36歳。別に怖くはないが、こういうタイプは自分は何もしないくせに、人の邪魔をして足を引っ張るんだよな。邪魔だな。


ここで足利家のために色々とやっておこうと思ってたけど晴元がいたらことが進まない気がする。

義輝様は俺の味方をしてくれそうだけど。

他の幕臣の方々に賄賂を配ろう。

政治をやろう。

そこまで考えていたら長屋に着いた。



さてこれからどうするか。三好家と落ち着くまではしばらくいてくれって言われたけど落ち着くのか?史実だとあと10年以上は落ち着かないけど。10年はここにいられない。


三好長慶が早く出てきたらいいな。

そしたら『交渉』でなんとかなるかもしれないのに。



八善屋甚兵衛に、幕臣の方々へ配る物を明日持ってきてもらうことをお願いした。

細川晴元には敢えてなしにしよう。

これも戦いだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ