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戦国野望  作者: 丸に九枚笹
第二章
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第二章 20話 内紛と新しい家族

1547年11月18日


日が昇り始めた頃、又兵衛に起こされた。


又兵衛「若、起きてください。」


目を開けるとまだ薄暗い。


松若丸「おう、戻ったか。」


声を聞き皆起き出した。


又兵衛「はい、戻りました。大岩衆が追った者はやはり須田満国殿の手の者だったようです。それより、殿、この寺も怪しいようです。」


松若丸「そうか。囲まれたか?」


又兵衛「囲まれてはおりませんが、須田満国殿の手が回っているようです。真田忍が追った、金で雇われていた者の頭と数人が先程この寺に入りました。昨日の小瀬橋の戦いがあまりにも一方的だったのでまだ暗いうちは手を出して来ないだけのようです。」


松若丸「そうか。四半刻後に出立する。寺の者に気付かれないように皆に準備させて。大岩衆は全員寺の周囲遠くまで、特に須田領のある東側警戒させて。」


又兵衛「ハッ。」



松若丸「竹千代、出浦衆の方はどうだった?源太郎、秀胤も来てくれ。」


竹千代「今戻ってきて聞いたら、須田満長の傅役って奴の屋敷に入ったよ。昨日、又兵衛が言ったことが間違いなかったな。」


源太郎「もうお聞きにのように雇われた連中はこの寺に入っています。再度我らを襲う気かと。ここの和尚はその傅役の一族みたいです。金ももらっているみたいですね。」


松若丸「繋がったな。じゃあ秀胤、その頭っての斬ってきて。竹千代、一応秀胤に出浦衆二人つけて。源太郎は、真田忍に命じて、昨日捕らえてるのを一人斬って、二人は斬ろうとしたけど逃げられたって感じで逃して。そしてその二人には、須田満国殿の企みを知った須田満親殿の手の者が俺らを助けるために遣わしたって感じで。」


竹千代「なるほど。」


秀胤「畏まりました。」


源太郎「それは面白いことになりますな。」




ここ出たらとりあえずは湯塚の叔父が来るくらい安全圏まで逃げるか。それともこの機に釣り出して叩けるところは叩いておくか。まあそれは相手の出方次第にしよう。



又兵衛「若、全員準備出来ました。」


松若丸「じゃあ、備後、和尚に挨拶して来てくれ。又兵衛は備後の共に。皆、行くぞ。」


室賀備後「ハッ。」



門の外に出て馬に跨がった。


辰千代「こんな慌ただしく出立したら、気付かれたと思って変なこと企むんじゃないか?」


竹千代「わざとそうさせるんだろ?」


千凛丸「わざととは?」


松若丸「まあ面白いことになるよ。あと皆、今日も戦になるかもしれないからその心積りで。」


一同「ハッ。」


鷹千代「今日こそは活躍しますよ!」


長福丸「あんま気張ってもいいことないぞ。」


松若丸「ほどほどにな。」



秀胤が出てくる。そして俺の方を見て頷く。


松若丸「悪いな。」


秀胤「いえ。」



備後と、慌てた和尚が出てきた。


和尚「もう出立されるのですか?大したお構いもできませんで。もう少しゆっくりされてもいかがですか?朝餉の支度をさせますので。」


松若丸「お世話になりました。お気持ちだけ頂きます。では、出発!」


皆馬に乗ってゆっくり出発した。





少し経つと後ろから騎馬が走って来る気配がした。


松若丸「又兵衛、来たか。」


又兵衛「はい、先頭は須田満親殿と、その家臣ですね。その後を追って来ているのが、満国殿と満長殿の軍勢およそ百です。皆、騎馬のようですね。」



今度は進んでいる大峰館の方からも軍勢が来た。


松若丸「いやー、全部予定通りだね。」


竹千代「上手くいったな。」


源太郎「面白いことになりましたね。」


辰千代「なるほどなーよく考えたもんだ。」


千凛丸「ここまで全て考えていたのですか。」


長福丸「ここにいたらまずくないですか?」


鷹千代「今回も出番なしか。若すごいな。」


秀胤「素晴らしい智謀です。」



松若丸「じゃあ又兵衛、俺らあの丘の上に行くから、満親殿を誘導して。皆行くよ。」





低い丘の上に登った俺らからは移動している部隊がよく見える。


満親殿も丘を登ろうとこっちに進路を変えた。


その満親殿を追おうと進路を変えた須田満国殿の騎馬隊百。


そこに、湯塚玄蕃叔父率いる騎馬隊三十が突っ込んだ。


須田満国殿の騎馬隊としたら、気付いたときにはもう遅かった。あっという間に蹴散らされていった。

あまり深追いはせずに、湯塚玄蕃叔父もここに来た。




松若丸「玄蕃叔父上、援軍ありがとうございました。」


湯塚玄蕃「おう!若、無事だったか。楽しませてもらったぞ!わしを指名してくれたこと礼を言う!」


松若丸「それはよかったです。」


須田満親「助けて頂き忝い。私、須田満親と申します。」


松若丸「とんでもございません。私は大峰松若丸と申します。」


揉めてたのはそちらだけど、最後の決定打は俺だからな。


須田満親「やはりあなたが、あの。このような場所で申し上げるのもなんですが、実は以前から松若丸様の家臣になりたいと思っておりました。我が家は、父が嫡男の私を廃嫡し、弟に継がせようとしたことから揉めており、なかなかお会いできませんでした。今回お恥ずかしながら、それが元で殺されそうになったところを逃げて参りました。しかしここでお会いできて嬉しく思います。今となっては須田家の家も家臣もほとんどいない私ですが、よければ松若丸様の家臣にして頂けませんでしょうか?よろしくお願いします。」


須田満親は地面に膝をつき頭を下げた。


松若丸「まずは顔を上げてください。大変だったのですね。満親殿が優れた武将だと噂は聞いております。是非こちらこそ宜しくお願いします。」


須田満親「ありがとうございます!松若丸様のお力になれるよう誠心誠意努めます!よろしくお願いします!」




松若丸「まずは大峰館に帰りますか。」


湯塚玄蕃「このまま須田を攻めてもよいが一度帰るとするか。備後、主計、苦労かけたな。」


室賀備後「ハハ、いえ、私は若の傅役ですから。」


中村主計「若殿にはむしろ救われました。」


湯塚玄蕃「一部始終を兄上に伝えてくれ。皆もご苦労。」


一同「ハッ。」


松若丸「玄蕃叔父上、私が皆を困らせているみたいな言い方やめて下さいよ。」


湯塚玄蕃「ハハハ!すまんすまん、若は大手柄だったな!帰りながら話を聞かせてくれ!」




大峰館に戻るまで、騎馬隊に囲まれながら昨日朝からあったことを話した。


湯塚玄蕃「それは本当に大手柄ではないか!最新式の鉄砲とそのための鉱山開発か、しかも鉄砲以外にも刀なども打ってもらえて、鉄鉱石以外の鉱山も見つければ掘れると。須田氏にも攻める大義名分ができたというわけか。なるほど。」


この叔父も、猪突猛進型の猛将に見えるが、賢いんだなと思ってしまった。


湯塚玄蕃「須田氏を攻めるのはいつ頃にするのだ?」


松若丸「年明けにしますよ。大義名分を掲げるならなるべく早くがいいのかもしれませんが、今だと須田領の農民に迷惑をかけることになるので。それに、大きな戦にはならないと思いますよ。須田氏の内部はバラバラですから、その頃になったら自然と内部崩壊するでしょう。」


湯塚玄蕃「ハハハ!なるほどな。我が甥ながら末恐ろしい奴め。頼もしいわ!わしのことも上手く使ってくれ!」


松若丸「ハハ、使わせて頂きます。」




大峰館に帰った俺たちは解散し、俺と備後、主計殿、湯塚玄蕃叔父は父上に報告しに行った。


鉱山、山師、鉄砲、鍛冶、は褒められたが、供をもっと多く連れて行けと怒られた。


小瀬橋の戦いから須田満親殿の登用までを備後から聞いて非常に満足はしてたみたいだが、小さい声でそれほどとは、とか、もう及ばないな、とか聞こえて寂しそうな顔をしているときもあったけど、総合的に喜んでもらえたようだ。



須田満親殿は旧領の石高と同じ給金で家臣とし、大峰館の近くに館を建設することが改めて決まった。

須田領を手に入れたら、最近更に技術革新が進んでいる安倍家の土木工事が入って、時間も以前の半分くらいで、石高は五倍以上にはなるので、税率を四公六民として、満親殿に旧領を渡しても大峰家としては石高が増えることになる。鉱山も手に入るし。



須田満親殿は21歳。本人の希望もあり、年齢的には小姓と言わないが、小姓衆に入った。


俺が、満親殿が優秀だと話したため、家のごたごたで未婚だった満親殿に、父上と祖父が相談し、父上の妹との婚姻が成立し、早くも満親殿は一門となった。


さらに、今回抜群の働きをした上泉秀胤も、俺の姉を正室として迎えることになった。


どんだけ一族に子供いるんだ。


俺にとって二人は義理の叔父と、義理の兄となった。

本人たちの希望により、俺は満親、秀胤と引き続き呼ぶことになったが。


頼もしい一門衆が増えた。


ちなみに秀胤も17だが小姓衆に入ったままでいる。



これには師匠の上泉秀綱殿が喜んでいた。二重の縁だと。


何のことかわからなかった俺は秀胤に聞いてみたら、秀胤の妹が俺の側室になることが決まっているらしい。源太郎の妹も俺の側室になることが決まっているらしい。これも知らなかった。


師匠秀綱殿と父上、祖父が話して、今後も有力な家を一族家臣にしていくために、こちらから養子を入れること、一族に嫁をもらうこと、俺にどんどん側室を持たせることが決まっていると。

まあ政治的にそういうことなんだろうけど、ハーレムが確定した。

これそういうゲームだっけ?

まあ、信長も秀吉も家康も何人も側室いたからそういうもんだと思うか。それはそれで俺は気にしないで、自分のことを進めていこう。



そして、上泉、真田の姫二人が、近々、俺に挨拶に来ることが決まっているらしい。二人とも四年前に一度見て以来だ。



これも上泉家、真田家という新しい家族が増えたわけだからよしとしよう。




部屋に戻った俺は又兵衛を呼んだ。


松若丸「又兵衛、今回も色々と苦労掛けたな。ありがとう。次の手を打ちたいんだが、その前に、これはいつも助けてもらっている気持ちだ、受け取ってくれ。」


俺が腰に刺していた短刀を渡す。


松若丸「又兵衛の差し料にはならないかもしれないが、鞘に大峰家の家紋、丸に九枚笹が描いてある。気持ちだと思って受け取って欲しい。」


又兵衛「若…そこまで私を…」


又兵衛は下を向いて黙ってしまった。




少しして気持ちを落ち着けた又兵衛が顔を上げる。


又兵衛「ありがとうございます。改めて若にこの命捧げます。」


松若丸「これからも宜しく頼む。」


又兵衛「ハッ。」



松若丸「では、次の手だが、今回のことを須田領、高梨領、井上領、村上領の家中、領民に広げて欲しい。流して欲しいのは五つ。一つ目が、領内の見廻りをしていた俺を須田満国殿が兵三百で討ち取ろうとしたが俺と側近二十人に返り討ちにされたこと。二つ目が、それで大峰家が怒って戦の準備をしていること。三つ目が、それに反対していた嫡男の満親殿を満国殿が廃嫡し、溺愛している弟の満長殿に無理矢理家督を譲らせ、満親殿を殺そうとしたこと。四つ目が、それを大峰家が兵を出して救い、満親殿は松若丸に忠誠を誓ったこと。最後に、満親殿は旧領を安堵され、父上の妹を娶り一門になったこと。この五つだ。」


又兵衛「はい。わかりました。」


松若丸「これが上手く広まれば、また色々なところが動くだろう。頼んだ。」


又兵衛「畏まりました。では。」



ふう、一気に色々進んだな。山師も鍛冶もよかった。須田氏は予想外だったが、これも早く上手い形で決着がつきそうだ。



次は何が残ってたかな。

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