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戦国野望  作者: 丸に九枚笹
第七章
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第七章 177話 決行と軍議

1555年3月11日続き


采女(殿、殿。)


信輝(采女か。そろそろ時刻か。)


采女(ハッ。松平竹千代殿のもとに向かいます。)


信輝(うん。問題ないだろうけど、気をつけて。)


采女(ハッ。またご報告致します。)


まあ二人のことだから大丈夫だろう。けどできれば、岡崎に先に言ってから実行したかったな。けど、時間がなかったから仕方ないか。岡崎に話をする時に、既に竹千代殿は大峰にいるから従えって言うと、いくら大峰に感謝している岡崎松平家の皆さんも怒るんじゃないだろうか。まあ何を言っても今さらだからこれも仕方ない。


今川義元殿は竹千代殿がいなくなったらどんな反応をするだろうか。そして、それを誘拐したのが大峰だと知ったらどうなるだろうか。既に戦をしているし、これ以上何かはないか。


あと、影響あるとしたら、ここでうちが竹千代殿を囲うと桶狭間は起きるかもしれないが、その後の清洲同盟はなくなる。多分。まあ先のことはわからないか。史実だと5年後だしな。とりあえず今のことを考えよう。


と、色々考えていると、 


采女(殿、少し時間がかかりましたが、予定通り、竹千代殿、それからお付きの方六名をお連れし、屋敷を脱出しました。我らは数名の配下と共にすぐに大峰を目指します。屋敷に残られた方は主殿殿と松平家の酒井忠親殿の差配で、少人数ずつ清水湊に向かい、八善屋の船で三河にお送りします。)


信輝(わかった。ありがとう。六人って予定より多かったね。大丈夫?)


采女(はい。皆様、是非お供したいということでしたので。こちらは余裕を持って準備していたので問題ありません。すぐに駿河を抜けます。)


信輝(わかった。見張りとかは?駿府の町は?)


采女(その辺は抜かりなく。後ほど騒ぎにはなるかもしれませんが。)


信輝(そうか。まあある程度は仕方ないね。気をつけて。)


采女(ハッ。)



信輝「又五郎、遅くに申し訳ないんだけど、家老三人に来てもらうように使いを出してもらっていい?」


又五郎「ハッ。」



割と早く三人がやって来た。

源五郎に案内されて梅の間に入ってくる。


肥後「どうした?こんな時間に?」


陸奥「なんか緊急事態?」


信輝「悪いね。遅くに。いや、緊急事態というか、松平竹千代殿の件の決行が今日だったから一応話しておこうと思ったのと、二人が出発する前に色々話しておこうと思って。」


肥後「そうか。明日の朝軍議が終わったらすぐ発とうと思ってたから、確かに今しかないな。」


陸奥「采女と主殿からまだ連絡ないの?」


備前「陸奥、それはここでは。」


備前が又五郎と小次郎がいることを目で知らせる。


陸奥「確かに。悪い悪い。」


肥後「まあ、そこは空気読もう。無事に?」


信輝「うん。ひとまず問題なく。まあここから数日間まだわかんないけど。」


陸奥「それならよかった。」


備前「それで、殿。明日の軍議では何を?」


信輝「うん。明日はね、まず、もう一度二人が三河に行って岡崎松平家と友好関係強化するって話と、関東の状況報告。って言っても今はまだ動きないけど。あ、武田と北条の戦聞いた?」


肥後「聞いたよ。晴信殿も義信殿も無事でよかったな。」


陸奥「三増峠の戦いね。やっぱり有名な戦は起こるべくして起こる場所で起きてたんだな。」


信輝「まあ、地形とかが関係してるんだろうね。その話もしようと思ってたのと、あとは長尾景虎殿との戦をそろそろ進めようと思って。」


肥後「まあ仕方ないな。戦したかったけど。」


陸奥「そうだね。参加したかったけど、今すべきことをするよ。」


信輝「ありがとう。負けないように頑張るよ。それから、斉藤道三が飛騨に攻め込もうとしてるらしい。」


備前「飛騨は山脈を隔てていますが隣の国ですね。もともと木曽が斉藤領の美濃とは接していますが、飛騨が斉藤領になると面倒になるかと。」


信輝「そうなんだよ。でも飛騨って山が多いから攻めるの大変じゃん。攻めてもあんまり石高ないし。」


肥後「でも、敵の領地になったらそれはそれで困るだろ。」


陸奥「一応取っておいた方がいいんじゃない?」


信輝「そうか。俺は飛騨よりも越中を取った方がいいかと思ったんだけど。」


備前「殿がお考えのように越中も取った方がいいと思いますが、飛騨を放置しておくと後々問題にならないでしょうか?」


肥後「今、飛騨がどこか一つの勢力にまとまる前に攻めておいたら?」


陸奥「飛騨だったら一万の兵がいれば大丈夫じゃない?」


信輝「そしたら越中は一度止めるか。越後の戦があって、関東にもすぐ出陣する可能性があって、飛騨と越中で戦始めたら、さすがに兵が足りないし。」


肥後「もし本気で飛騨を取るのであれば、取った後もそのまま一万は飛騨に常駐になるだろうしな。」


陸奥「誰が常駐?」


備前「今回、一緒に戻られた勘十郎殿ですか?」


信輝「いや勘十郎には越中に行ってもらおうと思ってる。」


陸奥「じゃあ、佐八郎殿?」


信輝「佐八郎は木曽福島城から動かせないよ。」


肥後「そしたら飯山城の高梨勘解由殿か、佐久の龍岡城の島津大隈殿?」


信輝「うーん、勘解由は越後の北の方に行ってもらおうと思ってて、大隈は武田に何かあった時のために龍岡にまだいて欲しいんだよね。」


備前「そしたら次は重三郎殿ですか?」


陸奥「重三郎は俺たちより年下じゃん。そしたらいよいよ十神隊から城主が出る?」


信輝「いや、十神隊の戦力は維持したい。そしたら、松本城の内膳に飛騨に行ってもらおうかな。」


肥後「松本城は?」


信輝「直轄にする。」


備前「それがいいかもしれませんね。」


陸奥「まあそうだね。」


肥後「そうだな。」


信輝「そしたら、越後の戦よりもこっちを先にしよう。明日、一応軍議にかけて、すぐに松本城に兵を集めて内膳に出陣してもらおう。」


備前「では、準備しておきます。」


信輝「それから、話してた将の募集も始めるよ。あと、武蔵にまとめてもらった孤児院も大々的に始める。あと、これも話してたけど、兵たちの中からの抜擢と、他にも特技がありそうな人をどんどん見つけて登用していこうと思って。」


肥後「まあ、だいたい話してたことだろ。」


陸奥「将の募集、抜擢、孤児院は話してたけど、その特技がありそうな人の登用って?」


信輝「二人がいない間に俺が町とか村をまわって優秀な人を連れて来ようと思って。」


備前「そうなのですか。私もお供させてください。」


信輝「備前には将の募集のところを頼むよ。抜擢はそれぞれの隊でやればいいし、孤児院は武蔵にやってもらうから、登用は俺に任せて。」


備前「そうですか。わかりました。」


肥後「何か考えがあるんだろ。任せとこう。」


信輝「そうして。明日の軍議の内容はこんなもんかな。」


陸奥「明日の軍議って誰が参加するの?」


信輝「十神隊の将たちと、大峰にいる安倍とか井伊、堀、奥田、森、藤堂、蒲生とかその辺みんな。隠居組は出ないよ。」


陸奥「了解。」


肥後「そんなところか。じゃあ俺たちは軍議終わったらすぐ出発するから。」


信輝「わかった。頼むね。」



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