表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国野望  作者: 丸に九枚笹
第二章
18/191

第二章 15話 調練と大忍者衆

1547年10月10日


軍備を強化する方針が決まり、その兵たちの調練のための馬場を新しく建設した。

本日はそこに父上から評定衆や俺の小姓たちまで皆が来ている。募兵で集まった兵たちとそれを率いる将たちによる調練が始まる。


武器はまだ時間がかかっているが、発注した甲冑が続々と届き、調練を始めることになった。一族家臣たちは皆それぞれが趣向を凝らした甲冑を身に付けている。

募集兵はなんと六千人集まった。引き続き募集はかけているので今後も増えていくだろう。

様々な人が見えるが全体的に若い。

他国から参加した者もいるが、家を継げない次男、三男、四男、五男…が多いようだ。家を継げない次男、三男も望めば土地を与えて開拓させたり、浅川園や土木工事の家臣としているのだが、手柄次第で出世できるというのが効いたらしい。

ただ、同時に義務も発生し、規則を守ることができなかった場合、厳罰に処すと父上から説明してもらった。これから厳しい訓練をするとも説明すると、動揺した兵たちもいた。まあ半分残ったらいい方かな。



馬場で最初の説明が終わり、俺たちは馬場を上から見ることができる櫓に上がってきた。

サッカーとか野球の観客席みたいな感じで下が見える。父たちは調練に参加するから下にいる。

今日は弟たちも来ている。


松若丸「かなり多く集まったな。」


千凛丸「そうですね。活気があるのがいいですね。」


竹千代「待遇がいいからな。」


辰千代「すぐ辞める人もたくさんいるだろうね。」


長福丸「やめた人たちはどうするのでしょう。」


鷹千代「元々の領民は諦めて開墾とか浅川園で働くだろうけど、問題は他国からの人ですよね。自分の根性がないから辞めたのに、そんな人に限って腹いせに領内で何かやりそうです。治安維持部隊でも配備しますか?」


松若丸「そうだね。父が隼人にお願いしてるみたいだけど、他にもいた方がいいかもね。あとで聞いてみる。他にも脱落した者たちのために何か考えておこう。この調練を経験していれば、他の仕事だったらすごく楽に感じると思うからさ。」 


鷹千代「はい。」


藤丸「これだけの人数が専属の兵士となって我が家に仕えてくれたら頼もしいですね。」


松若丸「近隣との戦だったらこれくらいでいいかもしれないけど、ここにいる皆にはゆくゆくは万の兵を率いてもらうことになるんだから、その心構えでいてくれよ。」


一同「ハッ。」


源太郎「この兵士たちの練度が上がれば、井上、須田、高梨はすぐに倒せるでしょう。問題は村上ですか。」


糸丸「村上もここまで兵はいないのではないですか。」


松若丸「情報によると村上が動かせる兵は五千から六千くらいかな。井上、須田、高梨、村上と個別で戦うなら問題ないけど、連合になったら厄介だな。」


千凛丸「その可能性もありますよね。」


竹千代「出浦衆使って仲違いするように情報流すか。高梨には須田が攻めてくるとか、村上には井上が大峰と組んで村上領に攻めてくるとか。」


辰千代「いいね。高梨には須田が、須田には井上と村上が、井上には須田が、村上には井上と大峰がでいいんじゃない?」


松若丸「いいと思う。やって。」


竹千代「わかった。」


松若丸「じゃあそろそろ俺も降りて参加して来るわ。皆は今後のためにここで見ててね。」


一同「ハッ。」



集まった兵を十の軍団に分け、大久保伊勢、黒田掃部、鎌田内膳、湯塚玄蕃、安倍隠岐、室賀備後、山下兵庫、中村主計、真田幸隆、上泉秀綱の将が率いて模擬戦を何度も行った。

調練は、担保槍と竹刀を人数分配り、矢は先がないものを配って、怪我がないようにした。それでも叩き合いになると怪我はするだろうが。

薬草も大量に準備したから大丈夫だろう。

あと温泉もあるし。



そして、五軍団ずつ左右に分かれて、大将を一方が父上、一方が俺で何度か模擬戦を行った。


勝ったり負けたりだったが、実際に軍や兵士を使うのは難しかった。

将たちの得手不得手を把握して上手く使わないといけないな。



兵士たちも中には武術の心得がある者もいるようだが、素人もいる。個人の訓練、集団戦法の訓練、模擬戦としばらくは続けた方が良さそうだ。




一通り終わった後、馬場の隣に建てた休憩所に来た。

広い部屋で、それぞれ固まって休憩している。

俺は父上の隣に座り、今日の調練について話してみた。



松若丸「時間はかかるかもしれませんが、形にはなりそうですね。」


信秀「そうだな。まだまだこれからだが。」


松若丸「父上、今回他国から来た人も増えているので、治安維持部隊を増やしてはいかがでしょうか。」


信秀「隼人の配下がやっているが、確かに増やしてもいいな。備後に命じておこう。」


松若丸「ありがとうございます。もう一つお願いがございまして。」


信秀「何でも言ってみてくれ。」


松若丸「先日、大岩衆が領内近くで武田の透波と思われる者を見つけております。かなり信濃も動いているので、情報を集める必要があると思います。」


信秀「そうだな。わしのところにも報告が入っている。そうか。お主にも隼人の配下からの情報が入るようにしよう。今どのような指示を出しているかも確認するか。後でわしの部屋に来るがいい。」


松若丸「はい、ありがとうございます。畏まりました。」




それから兵士たちは、一日は個人の訓練、一日は集団戦の訓練、一日は模擬戦、一日は休みというように過ごしてもらうことにした。

兵士たちには新しく建設した馬場の隣に、我々が使う建物とは反対側に宿舎を何棟も建設してそこに入ってもらった。元々領内に家がある者は通ってもいいとした。ただ通い組も食事は宿舎でしてもらった。

この四年で料理の腕が抜群に上がった大峰家の賄い方たちに、兵士たちの身体づくりと栄養補給のための食事をお願いした。料理の腕が上がったのは俺ら三人が色々と注文を出し続けたからだが、結果いい方向にいったからよかった。





1547年10月10日夕方


父上の部屋


松若丸「父上、松若丸です。」


信秀「入れ。」


松若丸「失礼致します。」


そこには、父上、祖父、大久保伊勢、室賀備後、戸田隼人、大岩又右衛門がいた。又右衛門は又兵衛の父だ。


信秀「では、隼人から説明してくれ。」


戸田隼人「ハッ。現在戸隠衆約六百五十名。大岩衆五十は、若の指令で動いております。その他六百は殿からの指示で、館の周辺を警護している者が三十。領内の警護、浅川園の警護、領外との境の見張りをしている者が約百。井上、村上、須田、高梨、甲斐の武田、上州の長野、上杉に入っている者が五十。他に、信濃の各地、越後の各地で五十。あとは越中の各地、飛騨の姉小路、美濃の斉藤、駿河の今川、相模の北条、安房の里見、古河公方、常陸の佐竹、会津の蘆名、陸奥、出羽に百。残りは様々な職人として働いていたり、修験者として全国を廻っていたりしております。」


松若丸「ありがとうございます。私も又兵衛にお願いして、武田、井上、村上、須田、高梨、安曇郡、筑摩郡、佐久郡、上杉憲政殿の情報を探ってもらっています。また、竹千代を通して出浦衆に、井上、村上、須田、高梨が連合することのないように、離間の計を行っております。」


信秀「そうか。今後は情報を共有することと、指揮系統を一本化した方がいいかもしれんな。」


大久保伊勢「それはつまり若殿に戸隠六百五十を任せると?」


室賀備後「大丈夫でしょうか?」


信義「それはいいな。松若丸なら上手くやるだろう。」


おー。すごいことになった。全く予想してなかった展開。


信秀「そうですな。隼人、又右衛門、どうだろう?」


戸田隼人「若殿でしたら問題ありません。戸隠衆は若殿に期待している者ばかりですので。」


又右衛門「わしも倅から若様の話を聞いております。不満に思う者はおりません。」


信秀「よし、それなら隼人、又右衛門、今後は松若丸の指示に従ってくれ。そして、隼人には手間を掛けるが、松若丸の指示と、松若丸に報告したことをこちらにも教えてくれ。」


戸田隼人「畏まりました。では、若殿の側に、角丸を上げましょう。あれは既にかなりの実力となりました故。そして引き続き私は殿の側に仕えます。戸隠衆の指揮権を少しずつ角丸と又兵衛に移していきましょう。」


信義「松若丸が元服し当主となるのはまだ先だが、民部も言っていたように、松若丸に家の舵取りを任せていってもいいな。わしはもう引いてもいいかもしれん。よし、今後わしは入道して大和入道広心と名乗ろう。皆頼んだぞ。」


大久保伊勢「父上、急ですな。まあ確かに松若丸なら実績もあるので忍衆のことだけでなく、一門衆も納得し従うでしょう。」


信秀「父上、羨ましいですな。わしも隠居して松若丸に任せてもいいのですが。まあもう少し頑張りましょう。」


信義「浅川園の近くにでも寺を建てるかの。」


信秀「父上、それはわしが差配しましょう。では松若丸、皆も良いな。」


一同「ハッ。」


松若丸「皆様ありがとうございます。隼人殿、又右衛門殿、よろしくお願いします。あと隼人殿、早速で悪いが、尾張の織田弾正家と三河の松平家、越後の長尾家、その長尾家の弟景虎の情報も集めるように頼みます。」


戸田隼人「わかりました。」


こうして戸隠衆六百五十は俺の指揮で動くことになり、角丸は俺の側に仕えることになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ