第一章 12話 善政
1543年12月15日
松若丸「寒い!北信濃ってこんな寒いんか!」
毛皮着て火鉢で部屋暖かくしているが寒い。
いつものように小姓衆が部屋に集まって、火鉢を囲んでいる。
竹千代「確かに寒いな。」
辰千代「寒い!」
千凛丸「毎年これくらい寒いではないですか。」
長福丸・鷹千代「そうですね。」
松若丸「まあそうか。温泉行きたい!近くに温泉ってあるのか。いや近くにあるなら温泉引けないかな?今まで簡単な湯浴みだったけど、温泉引けたら毎日入れていいよね。」
竹千代「『探索』で探そう。」
辰千代「温泉掘削機が必要だね。『技術開発』。」
松若丸「よし、『検索』!」
千凛丸「では、隠岐殿を呼んで来たらいいですね。」
松若丸「ああ、頼んだ。でも忙しそうだったらいいからね。長福丸は父上の都合聞いて来て。」
千凛丸「畏まりました。」
長福丸「わかりました。行ってきます。」
毎日ずっと一緒にいるため、だいぶ連携が取れてきた。
少しの時間、俺たち三人は能力を使うため沈黙していた。
松若丸「近くだと裾花川の温泉があるな。若槻にも平成になって温泉出たらしい。『探索』どう?」
竹千代「山裾だったらそんなに深く掘らなくても温泉出そうだよ。」
辰千代「掘削機はこんな感じか。今あるもので何とかできそう。」
松若丸「よし。」
そこに隠岐殿を連れて千凛丸が戻ってきた。
千凛丸「失礼します。隠岐殿を呼んで参りました。」
安倍隠岐「若殿。失礼致します。また何か思い付かれたとか。」
松若丸「忙しいところ申し訳ない。これを見てくれ。」
温泉掘削機と印を付けた地図を見せる。
安倍隠岐「これは。温泉ですか。この装置ならそんなに難しくはなさそうですね。館の山側を増改築したら館まで引くことも出来そうです。」
松若丸「よかった!」
父上のもとに行っていた長福丸も戻ってきた。
長福丸「若、殿がお会いくださるそうです。」
松若丸「ありがとう。隠岐殿も一緒に来て頂いてよろしいですか?皆も来てくれ。」
皆で廊下を移動する。
松若丸「失礼致します。」
信秀「入れ。」
信秀「おう。皆で連れ立ってどうした?」
松若丸「はい、本日はお願いがあって参りました。こちらをご覧ください。」
信秀「これは。温泉か。そうか。いいな。どこに作る?」
安倍隠岐「館の山側を増改築したら館まで引くことができます。ここでしたら深く掘らなくても出ると思いますし、そんなに難しくない工事ですので、人手もあるので10日もあればできると思います。」
信秀「そうか。いいぞ。松若丸のお陰で資金は潤沢にあるからな。それから、どうせならこれとは別に、館から離れた、地図のこの辺りに大きな公衆温泉でも作るか。領民も土木工事が多くて疲れておるだろう。浅川園で働く者たちも使えるようにな。それに、善光寺詣でをした者たちにも開放してやれ。規模はとにかく大きくだ。人手があるようなら、館の方と同時にやって構わん。必要な資材があれば八善屋の利助を呼んで取り寄せてもらえ。この公衆温泉は松若丸の名前で布令を出せ。」
安倍隠岐「はい。畏まりました。さっそく設計し、見積もりを出し取り掛かります。では、失礼します。」
松若丸「ありがとうございます。」
信秀「よいよい。よく思い付いたな。館で温泉に入れるようになったら便利でよいな。」
松若丸「はい。領民への配慮は思い付きませんでした。ありがとうございます。これでまた領民が増えそうですね。」
信秀「そうだな。人はいくらいても足りないくらいだ。善政を心掛ければ自然と増えるだろうし、きっといいこともあるだろう。食糧の方も何とか目処が付いたし、来年以降は、かなり余裕が出そうだからな。余裕が出たらまた何かできるだろう。もちろん飢饉対策などの備蓄はするが、それでもまだまだ領民は増やしたい。」
松若丸「はい。勉強させて頂きました。そこで父上に一つご提案させて頂いてもよろしいでしょうか?」
信秀「いいぞ。何だ?」
松若丸「食糧難の中ですが、米で納めてもらっている税率を下げてはいかがかと。」
信秀「うーむ、税率をな。確かに税率を下げれば領内は喜び、暮らし向きも豊かになろうな。ただ、浅川園の者たちや土木工事のために家臣として雇った者たちに食わせて行くためには必要なのだが。でも、商売で上がってくる資金は潤沢にあるから、足りない時は今回のように八善屋に頼んで買えば済むか。そうか。税率をな。よし、わかった!下げるのであれば四公六民まで下げるか。」
今の領内の税率知らなかったけど、まあきっと下がったんだろう。
松若丸「ありがとうございます。ついでに関所も廃止してはどうでしょうか。より人が入ってくるかと思いますが。」
信秀「関所か、まあ我が領内は他領から見ると比較的厳しくはないけどな。これもいっそのこと取ってしまうか。間者などは隼人の戸隠衆に見張らせることもできるしな。税率と関所撤廃は明日発表しよう。」
松若丸「ありがとうございます。」
信秀「ところで皆、学問、稽古、修行は順調か。そなたたちが次代を担うのだから、日々鍛錬を惜しまぬように。」
一同「ハッ。」
松若丸「では、失礼致します。」
1543年12月30日
温泉は完成した。一族郎党みんな館で温泉に浸かれることでとても満足している。
温泉ってこんな簡単にできるもんなのか。
ゲームだからか。色々上手くいってんのもゲームだからか。まあ考えないようにしよう。
これで来年からも頑張っていけそうだ。
四公六民と関所撤廃は、また将来的に領内を豊かにすることになっていくだろう。
これで当面打てる手は打ったな。
八善屋にお願いしている野菜とか果物とか他の色々なものも早く手に入ったらいいな。結局、軍備は何もできてないけど、焦らなくていいか。
第一章 終了
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