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戦国野望  作者: 丸に九枚笹
第五章
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第五章 125話 鎧と旗

1554年12月26日


翌日、準備が出来た十神隊だけ先に出ることにした。

妻たちに見送られ俺は馬上の人に。

残りは伊勢叔父がまとめ、井伊直親、堀秀重、奥田直純、森可成、藤堂虎高、蒲生賢秀、大峰与一郎、大峰与次郎を将として後から来る。

備後、兵庫殿、主計殿は留守。


義輝様も参加すると言ってくれたのだが、上泉師匠たち新陰流門徒と一緒に留守をお願いした。

義輝様は最近ずっと師匠の屋敷にいて、豊五郎や新次郎と共に新陰流に没頭している。まだあまり外に出るわけにもいかないので、しばらくそうしていると言っている。それに新陰流の修行が楽しくて仕方ないらしい。



十神隊は、今川、北条が甲斐に攻めてくる場合も、上野に攻めてくる場合も、どちらにも対応できるようにとりあえずは上田城に入る予定だ。

まだ確かな情報は入っていない。


十神隊は人数を増やしたのだが、その他の兵とのバランスもあり、予定していた各隊二千ずつは集めることができなかった。結果、青龍だけ千五百、他はそれぞれ千と、八咫烏だけ五百という一万が十神隊の人数になった。それでも、前よりかなり大規模になった。最初に選んだ数百の者たちの中から小隊の物頭を選ぶ形とした。


須坂練兵場から出陣する。

十神隊の鎧具足、旗も完成した。

青龍は、青糸縅の鎧。龍を描いた青い旗。青に白字で「龍」と染め抜いた旗。

朱雀は、全身赤備。朱雀を描いた赤い旗。赤に黒字で「朱雀」と書いた旗。

白虎は、白糸縅の鎧。白虎を描いた白い旗。白に黒字で「虎」と書いた旗。

玄武は、全身黒備。玄武を描いた黒い旗。黒に白字で「武」と染め抜いた旗。

鳳凰は、緑糸縅の鎧。鳳凰を描いた緑の旗。緑に黒字で「鳳凰」と書いた旗。

麒麟は、黄糸縅の鎧。麒麟を描いた黄色い旗。黄色に黒字で「麒麟」と書いた旗。

八咫烏は、八咫烏を黒く描いた茶色の旗。

獅子は、紫糸縅の鎧。獅子を描いた紫の旗。紫に白字で「獅子」と染め抜いた旗。

大蛇は、橙糸縅の鎧。大蛇を描いた橙色の旗。橙色に黒字で「大蛇」と書いた旗。

霊亀は、あの羽織のように無理矢理だんだら模様にした鎧。ハワイで売っていそうなウミガメを描いた浅葱色の旗。浅葱色に白字で「誠」と染め抜き、下の方をだんだら模様にした旗。それの赤いバージョンの旗。皆一度は見たことある完全にあの旗だ。


一つだけ違う時代の隊が混ざってる。いいって言ったけど、そこまでやるとは。

朱雀、玄武、霊亀の他は、鎧具足の縅の色だけを統一することにした。



行軍は、玄武、麒麟、鳳凰、大蛇、青龍、獅子、霊亀、八咫烏、白虎、朱雀の順。

鎧と旗が揃ったため、迫力が違う。威風堂々といった感じで粛々と進んで行く。


十神隊全員、外套を着て、軍靴を履いている。ゴム軍手、スコップ、つるはし、荷運び用の一輪車などの土木作業用の道具も各隊持ち、兵糧もパンやシチュールーなど作ったものを持って来ている。軍靴を履いているからまだましなのだが、荷物が多いのでいつものように馬で飛ばしてという訳にもいかず、進みは騎馬だけだった時に比べると遅い。


俺も青糸縅の鎧に身を包み、兜をかぶっている。兜の前立ても何か工夫して作ろうかなと思っていたが、間に合わなかったため、普通の鍬形兜。

馬に乗って進んでいると、俺の横に采女、小太郎が来た。又兵衛は大峰からずっと側にいる。

小姓たちもいる。今回は、源五郎、半兵衛、久作、三右衛門、与一、巳六だけを連れて来た。鍋之助、亀丸、乙千代丸は留守番。三人とも来たがったが、今回はまだだと言い聞かせた。



采女「殿、やはり今川、北条勢は甲斐を攻めるようです。今川勢は駿府から東へ、北条勢は小田原から西に向かって進み出しました。」


信輝「やっぱり富士川に沿って北上するのかな?」


采女「その道が順当ですね。」


小太郎「今川勢はその道かもしれませんが、北条勢は富士の山の東側を通る可能性もあります。足柄辺りから北に行く道があります。」


信輝「じゃあ、甲斐には二方向から攻め込むことになるな。数は?」


采女「今川勢は二万です。今川義元殿が率いています。」


信輝「よくそんな集まったな。この前、軍を解散したばかりじゃないの?」


采女「はい。前回のことで徴兵に慣れたのかもしれませんね。前回あれだけ時間が掛かった軍とは思えません。また義元殿ご自身で率いていますし。他は朝比奈、天野、鵜殿、飯尾などが来ています。」


信輝「そうか。なめて掛かると怪我しそうだな。松平竹千代は?」


采女「来ていません。」


信輝「そうか。わかった。北条は?」


小太郎「北条勢は一万五千です。こちらも氏政自身で率いています。氏政は大したことありませんが、一門衆や大道寺、笠原、松田などの宿老がいます。そして一番厄介なのは綱成殿がいることです。」


信輝「黄八幡か。」


小太郎「そうです。綱成殿にはお気を付けください。大道寺盛昌殿、笠原信為殿の二人の老将も手練れです。」


信輝「名前は聞くな。道茶は?」


小太郎「います。道茶の子の足利義為という者もいるようです。」


信輝「本当に一族でいたんだね。戦の経験なんてあるのかな?」


小太郎「そこまでは。ただ、一隊を任されてはいますね。」


信輝「それも気を付けとくか。」


小太郎「はい。見張りは付けていますので。順次報告が入ってきます。」


信輝「わかった。ありがとう。采女、他の周りの国の動向は?」


采女「他は動く気配ありません。」


信輝「わかった。又兵衛、浅井はどうかな?」


又兵衛「はい。婚姻は断られたので、ご指示通りすぐに帰ってきましたが、揺さぶる効果はあったと思います。同盟も一応形だけはできましたし。」


信輝「そうか。まあ、また時期を見て行ってもらうよ。」


又兵衛「わかりました。」


信輝「佐竹は?戦が長引くようだったら兵を出してもらうか。」


又兵衛「はい、おそらく受けてくれると思います。」


信輝「じゃあ、そっちも、もしお願いするようだったら頼むよ。」


又兵衛「はい。一日あれば往復できますので、お申し付けください。」


信輝「わかった。ありがとう。あと、采女、飯田城は?」


采女「今のところ動きはありません。ご謀反の噂もまだあります。」


信輝「義信殿の使者は?」


采女「そろそろ到着する頃かと。」


信輝「わかった。また何かあったら教えて。」


采女「ハッ。」



とりあえずその日は上田城に入った。

まだ状況はわからないが、将たちを集めて現状の確認だけを行ってこの日は終わった。




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