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戦国野望  作者: 丸に九枚笹
第五章
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第五章 114話 庄内川の戦いとその結果

1554年10月10日


今日は笹の間で起きて、また食堂で皆で食事をしてきた。


梅の間に戻ると。


采女「殿、戻りました。」


信輝「采女、お帰り!本当長い間悪かったね。ありがとう。助かったよ。」


采女「いえ、大してお役に立てず申し訳ございませんでした。」


信輝「そんなことないよ。重要な情報だからね。で、結局どうなった?」


采女「はい、先日お話しした庄内川を挟んで斉藤、織田と今川の戦がありました。庄内川の戦いとでも言いましょうか。その庄内川の戦いは、結論から言うと斉藤織田の勝利に終わりました。今川勢は士気も低く、最初から逃げ腰だったので、一刻も経たずに崩れ、そのまま立て直すこともできず、ばらばらに三遠駿それぞれの領地に逃げ帰りました。井伊家も無事に井伊谷へ戻られました。今川義元殿も側近に守られて駿府に帰りました。行きとは違いものすごい速さで。今川家の三月掛けた征西はあっけなく終りました。」


信輝「何だったんだ結局。」


采女「はい、やはり太原雪斎殿は亡くなられていることがわかりました。太原雪斎殿に今まで抑えられていた義元殿が自身の力を証明したくて起こした軍のようですね。相当自分に自信があったのでしょう。」


信輝「えー。めっちゃ周りには迷惑じゃん。でもさ、そういう人ってここから一皮むけたりしちゃうんじゃないの?」


采女「はい、帰ってからすぐに次に動き出しました。北条氏政殿に同盟を持ち掛け、これが成立したようです。」


信輝「え?早くない?まあ、あり得るか。」


采女「はい、氏政殿も考えていたようですね。」


信輝「武田家とはどうなるんだ?じゃあ梅殿は?」


采女「はい。武田家に帰されることになりました。なんでも、結局、氏政殿と梅殿は一度も直接会話すらしなかったらしいです。今になってそう噂されています。きっと事実なのでしょう。」


信輝「そうなんだ。可哀そうだけど。まあ、梅殿にはよかったんじゃない?全く何もなかったなら、これからいい縁もあるでしょ。」


采女「はい。そして今川義元殿の娘が氏政殿に嫁ぐことになりました。」


信輝「北条家は今川と結んで武田家とうちと戦うってことか。氏政の母親も今川氏だよね?」


采女「そうですね。」


信輝「そうか。もともと今川と北条は縁が深いもんな。そういえば義元殿の正室って晴信殿の姉じゃなかった?」


采女「そうです。」


信輝「晴信殿はどう動くかね。」


采女「氏政殿に激怒しているようです。」


信輝「だよね。そういえば晴信殿に氏康殿のこと伝えてないな。ヤバい。すぐに使者を出しておこう。」


采女「はい。手配いたします。」


信輝「よろしく。いや、待って、やっぱ俺が行くわ。」


又兵衛「殿ご自身でですか?」


信輝「うん、伝えるの忘れてたのは俺だし。お詫びもかねて。」


又兵衛「大丈夫ですか?」


信輝「うん、見も連れて行こうかな。」


采女「殿、それでよろしいので……?かっこ悪くないですか?」


信輝「だって晴信殿怒ったら怖いじゃん。見のこと溺愛してるし、見が一緒なら怒られない!多分、きっと。」


又兵衛「わかりました。」


信輝「二人とも笑ってんじゃん。あとこれは真剣な話、梅殿も見がいれば少しは気が晴れるかなって。」


采女「それはそうかもしれませんね。」


又兵衛「殿、言い訳はよくないですぞ。」


信輝「いや、本当だよ。梅殿のためだ。」


又兵衛「わかりました。では、使者を出して先方の都合を伺いましょう。」


信輝「よろしく。でもさ、さっきの話に戻るけど、今川義元殿って上洛したいわけじゃん?北条家は新政権についてるわけだから、それって矛盾しない?」


采女「はい。そうですが、当面の利益が一致しているからではないでしょうか。」


信輝「そういうもんなんだ?白か黒かだけじゃないんだな。」


采女「はい、簡単には割り切れないものです。」


信輝「そうか。義龍殿は?」


采女「はい。やはり兵を挙げました。道三殿と対立しています。義龍殿の方につく者も少なくなく、すぐには決着がつきそうにないですね。浅井も義龍殿に味方しました。」


信輝「浅井も?そしたら、新政権の将軍に近い明智の縁者の斉藤道三殿と浅井が対立することにならない?浅井は細川、六角と対立するってこと?」


采女「いえ、斉藤義龍殿に味方をするだけで、細川殿に敵対する気はないようです。」


信輝「それって通用するの?明智も何も言わないの?」


采女「そこも簡単には割り切れないのでしょう。それにまだ政権基盤が確立したわけではないので、それで浅井の討伐とまではできないのが現状なのではないでしょうか。」


信輝「そうなんだ?じゃあ、今浅井に同盟の話持ちかけたらどうなると思う?」


采女「どうでしょう?揺さぶることにはなりそうですけど。」


又兵衛「また私が行きましょうか?」


信輝「うーん、もう少しだけ様子見てからにしようか。またその時は頼むよ。」


又兵衛「畏まりました。」


信輝「よろしく。結局今回の庄内川の戦いで何か変わった?」


采女「はい。織田信長殿だけが得をしました。尾張のほとんどを手にすることができましたので。」


信輝「そうか。信長殿は義龍殿と道三殿との戦は道三殿の味方をするのかな?」


采女「それは今後どうなるかですね。」


信輝「織田家は新将軍派かな?」


采女「それもまだわかりません。」


信輝「そうか。」


又兵衛「殿、話は変わりますが、先日ご命じの米の収穫わかりました。」


信輝「ありがとう。どうだった?」


又兵衛「奥羽では例年並み、関東甲信越では凶作でした。東海、京周辺も例年並みでしたが、播磨、因幡などの西国でも凶作のようです。」


信輝「そうか。ありがとう。甚兵衛に頼んで奥羽の米を買って直江津に送ってもらうことにしたんだけど、それを領内だけじゃなくて、甲斐とうちの領地じゃない越後にも配るか。」


采女「よろしいので?」


信輝「甲斐は友好国だし、越後はいずれ領地にする予定だし、印象良くなった方が後々いいじゃん。」


又兵衛「そうですね。」


信輝「米が届いたらまた指示するけど、手伝ってね。」


采女・又兵衛「畏まりました。」


信輝「うちはそれでいいとして関東は困るだろうね。」


采女「そうですね。関東にも配りますか?」


信輝「さすがにそこまでの余裕はないと思うけど、もし余裕が出来たら考えよう。」


采女「ハッ。」


信輝「あとさ、例年通りのところで米買って、凶作の地方で売ったら儲かるんじゃない?甚兵衛に言ってみよう。もうわかってるかな?」


又兵衛「商人のようなことを仰いますね。」


信輝「うん、これ簡単に儲かるじゃん。まあ運送手段がないとどうしようもないか。船造ったらやってみよう。」


采女「船はどうなったのですか?」


信輝「造船所ができて、船大工も小太郎が伊豆の下田衆を勧誘してくれて、もうすぐこっちに着くって話だからそろそろかな。」


采女「小太郎殿は?」


信輝「風魔の新しい里になった吾妻山にちょくちょく行ってるよ。」


采女「そうですか。早く落ち着かれたらいいですね。」


信輝「そうだね。風魔には北条の見張りをお願いしてるよ。采女は今川の方の見張りもお願いね。」


采女「畏まりました。」


信輝「じゃあ、又兵衛、武田の方はよろしく。」


又兵衛「はい、畏まりました。」




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