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戦国野望  作者: 丸に九枚笹
第一章
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第一章 10話 新たな家臣と完成した浅川園

1543年6月25日


上州からの先触れが本日使節団が帰って来ることを知らせていたため、本日は評定を行うことになっていた。


屋敷の部屋で千凛丸、竹千代、辰千代と待っていた俺は、大広間へと呼ばれ、四人で向かった。


大広間ではいつもの様に皆が並び、大久保伊勢叔父と黒田掃部叔父の二人は、おそらく真田幸隆殿であろう人たち、上泉秀綱殿であろう人たちと下座に座っていた。軽く会釈して入り、俺らは端の方に固まって座った。



信秀「さて、評定を始める。まずは伊勢、掃部、それから、隼人、左衛門佐尉、この度はご苦労であった。」


大久保伊勢「ハッ、無事にご下命を終え、ただ今戻りましてございます。ご紹介させて頂きます。此度、殿からの要請に応え、当家に参られた、真田幸隆殿、矢沢頼綱殿、常田隆永殿、鎌原幸定殿、幸隆殿のご子息源太郎殿、一族の方々です。」


真田幸隆「真田幸隆と申します。此度は我ら一族をお招き頂き誠にありがとうございます。まず、父、海野棟綱は老齢により隠居し、郷里に隠棲しましたため、我らのみが参りました。そして、我ら一族で道々話し合ったのですが、伊勢殿、掃部殿に良くして頂いたことで決心がつきました。客分にとのお話を頂きましたが、我らを家臣としては頂けませんでしょうか。我らの念願は旧領の回復ではありましたが、それには固執しないことに決めましてございます。民部大輔様に忠誠を尽くし働かせて下さい。宜しくお願い致します。」


大久保伊勢「真田殿?よろしいのですか?」


真田幸隆「はい、宜しくお願い致します。」


信秀「真田殿、よくお越し下さった。海野殿は残念だが、その様に言って頂けるのであれば、是非にこちらからもお願い致す。現状は我らの力不足にて、旧領程を渡すことは叶わぬが、相応の待遇で迎えさせて頂こう。実は既に真田殿一族の館を新設しております。これから力をお貸しくだされ。わしも真田一族の主人として恥じない様にますます励みます。」


真田幸隆「なんと、ご厚情忝い。宜しくお願い致します、殿。」


大久保伊勢「よかったですな。では、こちらも我らの要請を受けて下さった、上泉秀綱殿、ご子息の秀胤殿です。上泉殿、順番が後になって申し訳ございませぬ。」


上泉秀綱「なんの伊勢殿、いいのですよ。民部大輔様、上泉秀綱と申します。拙者も真田殿と同様、微力ながら、家臣にお加え頂ければとの覚悟で参りました。何卒宜しくお願い致します。」


信秀「上泉殿もよくお越し下さった。伊勢が申しましたが、お待たせして申し訳ござらん。そのお覚悟、深く感じ入りました。こちらからも宜しくお願い致す。上泉殿の館も新設しております故。さらに、上泉殿には、よければ我が家中に新陰流をお教え頂ければとお願いしたいのですがいかがでしょうか。」


上泉秀綱「それは当方も望むところ。だが修行は厳しく致しますぞ。」


信秀「ハハハ、お手柔らかに。では、本日の評定は、真田殿、上泉殿、伊勢、掃部を迎えるためのものであったため、これで終わりと致す。また、本日は夕刻から歓迎の宴を開く。それまで一時解散。真田殿、上泉殿の案内は松若丸、千凛丸、竹千代、辰千代、お主たちがせよ。そのために呼んだのだ。頼むぞ。」


そう言われて俺たち四人は俺を先頭に、端の方から皆が並んでいる真ん中へと入り、真田、上泉両家に向かって座った。



松若丸「大峰民部大輔が嫡男、松若丸と申します。皆様におかれましては遠路遥々よくお越し頂きました。また、我が父にお仕え頂けるとのこと嬉しく思います。私もまだまだ未熟者ですが宜しくお願い致します。こちらが先ほど父からありました、室賀備後が嫡男千凛丸、山下兵庫が嫡男竹千代、中村主計が嫡男辰千代です。どうぞ宜しくお願い致します。」


真田幸隆「これはこれは、若様でいらしたか。これから宜しくお願い致します。」


上泉秀綱「しっかりしておりますの。これは教え甲斐がありそうじゃ。こちらこそ宜しくお願い致します。」


松若丸「では、ご案内致します。」


挨拶を済ませた俺たちは一足先に下座側から大広間を出た。

千凛丸を先頭に新しい館へと案内する。



真田殿も上泉殿も本当に一族皆で来たんだな。だから想定より時間かかったのか。『神託』の効果か。案内していると子供も結構多かった。女の子も何人かいたのが目に入った。


そういえば、館に女の子っていないな。侍女はたくさんいる。家のことをやってくれている。俺の姉とか妹とかいないのかな。弟たちとも全然会わないな。館にはいるんだろうけど、居住区が違うのか。




その後、夕方の歓迎の宴。


真田幸隆「民部様、噂を聞きましたら、ご子息、松若丸様は神童と呼ばれているとか。既に政治にも関与されていると聞きましたぞ。先程、案内をしてくれましたが将来が楽しみですな。」


信秀「もうお耳にされたか。恥ずかしながら我が嫡男は出来がいいようでな。」


上泉秀綱「なんと!行末が楽しみですな。我らもご嫡男が優秀だと安心でき申す。」


真田幸隆「民部様、もしよろしければ、我が娘を松若丸様の側室にして頂けないでしょうか?正室はまたきっと良いご縁があるでしょうから。今年3歳の佳という娘がおりますので。いかがでしょうか。」


上泉秀綱「それはいいの。わしの娘も愛という5歳のがおります故、側室としてもらってくだされ。」


信秀「ハハ。そうですか。まだ皆幼き故、今後どうなるかはわかりませんが、そのお気持ちは頂いておきましょう。」


真田幸隆「ありがとうございます。」


上泉秀綱「これは目出度いことになりましたな。ますます今後が楽しみになりましたぞ。」




もちろんここに子供たちはいないので、俺には知る由もなかった。




1543年6月26日


翌日、ついに完成した浅川園で完成の祝い式典が行われた。


一族みんなその完成した規模や内容に驚き、期待を膨らませた。昨日来たばかりの真田一族、上泉親子の驚きはさらに大きかった。



結局、内容はこうなった。全て八善屋が揃えてくれたものだ。


一番西の山側から、かなり広く柵で囲った場所に南部馬が百五十頭もいる。

その北東に馬よりは狭いが結構な広さを柵で囲った場所に牛五十頭、猪に近い豚六十匹、現代のとはちょっと形が違う鶏七十羽がそれぞれに柵で囲った場所に分けられている。

それぞれの柵で囲った場所に繋がる形で馬小屋、家畜小屋が建っている。


その隣に南北に長く牧場と東側を隔離する形で世話係の家臣たちが住む館が建ち、ここには我々が来た時に寝泊まりできる部屋も造られたため、当初の予定よりおよそ五倍の広さの屋敷となった。麓の館と同じくらいかそれよりも少し広い。


さらにその東側の、北側に広大な菜園がある。主に葉物が多いがトウモロコシが手に入ったのは大きかった。今、東南アジアからサツマイモを探してもらう様にお願いしている。

これからもどんどん増やしていく予定。


その南側に薬草園、これは依頼した薬草全てが揃って、館で薬の作成も行うことになっている。


最後に、菜園の北側の端には椎茸と朝鮮人参の小屋が建っている。これは最初お試しで建ててもらったものなので、館に隣接する位置にもっと大きな小屋を建て量産する予定だ。



これらが、三重の柵と、さらに一番外側は堀で囲われている。めちゃめちゃ広い。現代で言うなら大型のテーマパークより広い。東京ドーム何個分と表現する広さだ。




ここに住む世話係の家臣は百五十人程とその家族。

これは戦で滅びた家の家臣や、焼け出された農民、困窮してその土地から逃散した農民に衣食住と少しの給金を保証することで家臣とした。商品の儲けが元手となる。

全て一度、室賀備後、山下兵庫、中村主計が面談した上で採用し、名簿を作り管理することになった。



今後の浅川園の方針としては、馬は軍馬として調教しながら増産繁殖させる。

南部馬で騎馬隊ができるように。

家畜は食用としてや、卵や牛乳の副産物も収穫し、もちろん増産繁殖させていく。


数が今の五倍くらいになっても十分な程の広さがある。

菜園は種類を増やしながら安定して供給ができる様に、品種改良や、またそれを使って更なる商品を開発できるように育てていく。

薬草園は、種類はあまり増えないかもしれないが増産して、領民にも無償で配れる様にする。


そして、今後も屋敷の北側、南側にも設備を増やして行く予定だ。


殖産や酒蔵などまだまだできることはたくさんあると思う。

元々山なので土地はある。これからも南浅川沿いや、北にある浅川沿いの土地を活用すればいいだろう。資金は問題ないし、拠点もいくつも作ればいいし、人もまた雇えばいいので色々考えていこう。



今回できた施設だけでも上手く行けばかなりの儲けにもなり、領内は豊かになるだろう。

あと、八善屋ももっと大きくなるだろう。



この日は一日浅川園で過ごし、今後の展望などを考え終わった。


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