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第10話 蠢動-1

 おお、出てきた出てきた、我が麗しの沙紀お嬢様。


 校門の近辺で箒でゴミを掃きながら待っていると、我が契約上のご主人さまが出てきました。

 ココ数日観察していましたが、ほぼ同じ時間に真山くんを追いかけて出てきます。連絡通路で繋がっている寮住まいですのでこちらの校門側に来る必要はないはずですがね。

 いじらしいものです。


 そして取り巻きに追い返されるのも同じです。


 私は周りに人がいない事を確認すると、トボトボと歩く沙紀様の後ろから近づくと声をかけました。


「もしもし、沙紀様?」


「ひゃっ!!」


 近づく私の足音にも気が付かなかったのかひどく驚かれたようです。


「ちょっと!!いきなり話しかけないでよっ!!」


「ふふふ、それは失礼いたしました」


 まあ、魔術で空気の振動を抑制したのですがね。なるほど、魔術による幻惑が効かなくても物理法則をいじるという一段手間を掛けると、隠蔽することが可能のようです。


「うわっきもっ!!」


 相変わらず、汚物を見るような視線をむけて嫌がって下さいます。

 いつかその御礼を丁寧なおもてなしでお返しすることといたしましょう。


「それで、なんの用なの?」


「お嬢様は真山様を手に入れるために私に協力していただけるとお約束して下さいましたね」


「そ、そうよ。それで何を手伝えというの?」


「いえ、すこしお話を聞きたいと思いまして」


「何についてよ」


「3年生の阿形さん。ご病気で休まれていたようですが、どのような症状で?」


「造血細胞の腫瘍だとか・・・、水泳のオリンピックの強化選手だったのにその合宿中に発症したとかでニュースにもなったわ。一時は危ない状態になって、現代の医学だと手の施しようがないって言われてたけど、回復魔術が使えるっていう名医の人に掛かって治ったみたい」

「魔術というのは、現代では伝統芸能レベルで実用性はないのでは?」


「その人は特別みたい。先祖返りだって言われているわ。それに現代医学についてもトップレベルの研究結果とかをだしているそう」


「回復魔術ですか・・・。嫌なことを思い出しますね」


 金髪のシルエットが頭をちらつく。


「でも、もうスポーツは無理みたい。悪い部分を全部取り出して無りやり回復魔術で最低限の機能を追加して、生きてるのがやっとだとか」


「なるほど、他になにか気がついた事はありますか?」


「そういえば、なんか彼女のライバルだって言う人がなんかこの学校にやってきて騒いでいたことがあったわね」


「ほう」


「他校の生徒だからすぐ追い返されたけど、たまにやって来ては阿形さんに会おうとしてるらしいわ。水泳部の部室に行けば会えるかもしれないわね」


「それはそれは」


「彼女がこの間言ってた魔力の高いって人?」


「察しがよいですね」


「ひどいことするんじゃないでしょうね」


「まさか?少し魔力を分けていただくだけでございます」


「ふん。聞きたいことがそれだけなら私は行くわよ」


「ええ。それだけです。ありがとうございました。」


 寮の方へ去っていく沙紀様を見送りながら私はふむと考えます。

 ライバルと言うなら阿形様のお心の大きな部分を占める可能性がありますね。


 もし、運良くお見かけする事があれば接触してみるのもいいのかもしれません。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「悪いねえ、奇康さん」


「いえいえ、就業規則によれば用務員がやっても良いとなっていましたから」


「いやいや、原則として警備員の仕事だからね。ありがとう」

「この時間になると私の仕事も少ないですからね。コレくらいお手伝いさせて下さい」


「ありがとう。この御礼はいつかしますよ」


「いえいえ。お気になさらずに。これが鍵束ですね」


「ええ、そうです。よろしくお願いいたします」


「急ぐのでしょう?ささ、もうお行きになって」


「ああ。もうこんな時間か、それではお疲れさまです」


 私は、結婚記念日だとかで早く帰らなければいけない警備員(復活した直後に追いかけてきた彼)から仕事を引き継ぎ、下校時刻を過ぎた学校の見回りと戸締まりを請け負いました。


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