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甘い時間  作者: 古賀荒 にきよ
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解決の仕方

1時間ほどして和希君は戻ってきた。

「大木とも話をしてきた。で、明日、話をすることにした。

あゆみも三上から呼ばれるはずだから、知らないふりして

三上の家に行って。俺らは後から行くから」

何の話をすることになったのかわからないが、

とりあえず、そんな話を着た直後、三上先輩から電話が来て、

明日、19時に家に来て欲しいとの話だった。

「20時に行くことになっていたから、その1時間前に

呼び出したんだな」

和希君はちょっと心配そな顔で独り言をつぶやいていた。


次の日の18時40分過ぎ。

「とりあえず、先に行ってるね」

和希君にそういって部屋を出た。

三上先輩の部屋につくと、もう和田君も坂本君も来ていたが、

2人はなんで呼ばれたかはさっぱりわからない様子。

その内に、同じ部活で同級生の3人も来た。

「俺たちなんで呼ばれたんですか?」

三上先輩に質問している人もいたが、三上先輩は口ごもるような態度。

私も呼ばれた理由はわかっているけれど、なんで呼ばれたまの

詳細な理由がわからない。

狭い部屋で三上先輩入れて7人もの人がいると、暑くなる。

自販機でジュースを買いに一度出た。

「息苦しかった・・・」

独り言が出てしまう。

「なんで、あゆみ外にいるの?」

大木先輩と歩いてきた和希君が声をかけてきた。

「狭い部屋に大人数いるもんだから、暑いし喉乾いたしで、

飲物買いに来た」

「なるほどね」

「一緒に行くわけに行かないから、先に行け」

そう、私を追い立てて、先に三上先輩の部屋に戻った。


ジュースを配り終えたころ、和希君たちの来訪を告げるチャイムが鳴った。

ガヤガヤしていた部屋が、チャイムと共に静かになり、

大木先輩が入ってきて、和希君がその後に入ってくると、

一気に空気が緊張に変わった。

「みんな、ごめんな、集まってもらって」

和希君が謝る。

部活が違うのでそもそもあまり和希君とみんなは接点がない。

なんで、和希君が謝るのかも理解できていない。

「三上さ、ここにいる人たちには話をしたってことで

良いんだな?これ以外の人には話をしていないってことだな?」

軽く睨みながら確認するように聞いた。

三上先輩は、うなずくだけ。

「三上の話は、みんな聞いてるんだよな」

和希君が改めて、みんなに話をした。

三上先輩と田中さんの事。

田中さんが精神的に不安定になりやすい事。

実際、現在の田中さんは不安定になっている事。

「だから、言いふらしてほしくなかったんだ。

けど、三上は皆に言った。

だから、申し訳ないけど、これ以上言いふらされたくないから、

皆を呼んで話をしたかったんだ。これ以上噂をしないでほしい」

みんな、うなずく。

「本当にごめんな、わざわざ呼び出して。この話はこれで終わりと

いうことで、よろしく」

改めてみんなが頷く返事をする

「じゃ、帰るわ。大木先輩は一言も発しなかったが、

十分存在感のある態度だった。

「あゆみ、帰るぞ」

和希君が不意に私に声をかけた。

「あ、はい」

皆はなんで私が呼ばれたのか分かっているのか分かっていないのか、

そんな感じで私の通り道を開けてくれた。

みんなには前をごめんね、と謝りながら通ったが、

どうしても三上先輩には何も言えなかった。

田中さんの状況分かっていてやった行動。

言いふらした行動。

全てが自分勝手な行動にしか思えない。

友達の彼女だった人を、遊んだ。

本気で好きなら仕方がない。

けど・・・。

和希君の気持ちも考えると、本当に許せない気持ちしか持てなかった。

だから、三上先輩を完全に無視して、部屋を出た。

「あゆみ、三上に何も言わなかったけど良かったの?」

仲が良かったことも知っている和希君が尋ねた。

「・・・、和希君ごめん。私、どうしても三上先輩を許せない」

怒りをあらわにした私に和希君も大木先輩もビックリした顔をした。

「なんで、友達の彼女だった人と遊べるの?

もしかしたら、まだ付き合っていた時かもしれないんだよ?

それをどうして言いふらすことが出来るの?

で、自分で言いふらしておいて、逃げていたのは田中さんからの

連絡だったり、和希君に怒られると思ってでしょ?

自分勝手すぎて、腹が立って仕方がない。

二度と顔も見たくない」

興奮気味に話す私を和希君と大木先輩はやはり

ビックリした顔をし続けていたが、急に二人で笑い出し

「そうだよな、腹立つよな。あゆみの気持ちよくわかる。

だから、今日は3人仲良く飲み明かすか」

和希君と大木先輩の間に挟まれて、二人に腕を組まれて

三人で並んで、和希君の部屋に帰った。


この時、ものすごく感じた。

彼は、和希君は何かあったら最後まで戦う人なんだろうな、と。

私はできないと思った。

口止めをするために、みんなを呼び出したり、

三上先輩を後輩の前で非を認めさせるようなこと。








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