真相
「そもそも、あゆみの耳に入れたくなかったんだ。
だから、三上にも口止めをしていたんだ」
和希君が、険しい顔つきで話をする。
「三上が遊んだと言う、その女は田中なんだ」
「田中さん?」
それは、和希君の前の彼女だ。
「そう、あの時田中がこっちにいた時があっただろ?」
「私が大木先輩に守られていた時の事だね」
和希君がうなずく。
「で、俺とはちゃんと終わったわけだからその後、
あいつが何をしてもいいと思ってた」
「けど?」
「あいつは、精神的に不安定なところがある。
だから、色々とトラブルも起こした。それは、俺らの学年は
知っているし、まして俺らの周囲の人はよくわかっている」
「ということは、三上先輩も当然知っていたってこと?」
「そう。俺と別れたことで精神的に不安定になっていたところは
あったのかもしれない。けど、もう、別れ話はここ1年位でていたこと
だったんだ。だから、あいつもちゃんとわかっていたし、納得もした。
けど、三上はあいつが弱くなっているときを利用したんだ」
「和希君と別れたことで、田中さんが精神的に不安定になっているところを、
三上先輩がつけこんだ?」
「そう、三上が田中と付き合うつもりがあったのなら何も問題ない。
俺には関係のない事だ。けどあいつは、三上は田中を遊んだだけなんだ。
田中は俺と別れた時よりももっと精神的に不安定になって、今実家でも
調子を悪くしているらしい」
田中さんを三上先輩は遊んだの?
どうして、そんなこと出来るの?
自分の友達の元カノだよ?
私には全く理解が出来なかった。
「田中の精神状態を考えても、あゆみの気持ちを考えてもこのことは他言しない
そう、三上とは話がついていたはずなんだ。
けど、お前の耳に入ったのなら、俺は許せない」
和希君は立ち上がり、
「ちょっと話しつける段取りする。あゆみを巻き込んで申し訳ないけど」
「?私はどうすればいいの?」
「もうちょっと待って。ちゃんと終わらせるから」
和希君は、ちょっと出かけてくる、と言って出て行った。




