裏切り
それからも、夕食は私の部屋で食べてから大木先輩と遊ぶ日々は
変わらなかった。
変わったのは、どちらかの部屋に二人で帰るようになったこと。
授業があるとき以外はずっと一緒にいた。
その授業の時でさえ、大学まで送迎してくれていた。
同級の友人とは授業の時に会って話をしていたので、
同級と疎遠になる事もなかった。
そんなある日、夕食を食べた後二人でゴロゴロしていた時に
大木先輩から電話があった。
「ごめん、三浦いる?」
「大木先輩から電話だよ」
電話を替わり、私は洗濯したり電話を聞かないようにした。
いつの間にか電話が終わっていたようで
「ごめん、ちょっと行ってくる。待ってて」
和希君はちょっと慌てた感じで出かけて行った。
帰ってきたのは夜中。
「遅くなってごめん」
「大丈夫?」
「うん、今のところ大丈夫」
そう言って、私をギュッと抱きしめた。
「吾妻さ、三上先輩の話聞いた?」
2限と3限をとっていたこの日は、昼食を学食で食べていた時に、
同じ部活の和田君と坂本君が話があると呼ばれて、3限終わった後食堂で話をし始めた。
「何のこと?全く知らないけど?」
佐藤先輩とはやはり同じ部活で和希君と同じ4年。
以前は、大木先輩と三上先輩とで遊ぶことが多かったが、
三上先輩と大木先輩の間で何かあったのか、なんとなく二人の関係が疎遠になり、
今の和希君と大木先輩と私という形で遊ぶようになっていた。
「お前、大木先輩から何も聞いてないの?」
「?何にも」
「そっか、実はな・・・」
二人が話し始めたのは三上先輩から直接聞いたと言う話。
ちょっと、遊んだ女がいた。そのことで、誰かに色々聞かれるかもしれない。
誰かに何か言われたら、教えて欲しい、と。
「どういう事?さっぱり意味が解らないんだけど」
「俺らもよくわからないんだよ。けど、佐藤先輩は当分、学校にも来れない、
みたいなことも言っていて・・・」
「そんな大ごとなの?」
「うん、どうやら、そうらしい・・・」
何があったのか、要領を得ないがとりあえず、三上先輩に何かあった事だけはわかった。
その日の夜、二人から聞いた話を話題の一つとして和希君にした。
すると、和希君の顔色がみるみる変わっていくのが分かった。
「あゆみ、それって誰から聞いたって言った?」
「和田君と坂本君から。三上先輩から直接聞いたって」
「まじか・・・。いや、わかった」
「?なんかあったの?」
「あー・・・。歩にはちゃんと話さないとダメだな。そして、これからの事も」
笑い一つない、少し怒っている表情をしながら和希君は話し始めた。




