日課
実家でバイトして、遊んで。
けど、毎日和希君とは電話で話をしていた。
その日あった事、見た事、感じた事。
今迄の事なんかも話をした。
共通の知人、私から見ると先輩がたくさんいるので、話題には事欠かなかった。
「明日、戻りますね」
電話で和希君に伝える。
「早く帰っておいで、待ってるよ」
和希君が言ってくれる。
「17時前には着く予定です。お土産もありますからね」
「明日、遊び行ってもいい?」
と、和希君が遠慮がちに聞いてきた。
「いいですけど・・・」
ちょっと緊張する。
「18時頃になるかな?部活終わってからだし」
「わかりました。部屋で待ってますね」
ドキドキする。
そもそも明日、久しぶりに会うから緊張するのに・・・。
ピンポーン
18時過ぎ、チャイムが鳴った。
何をしていたらいいのかわからずに、とりあえず夕食を作って時間をつぶしていた。
緊張しすぎて、落ち着かなかったから。
「はい、どうぞ。部活、お疲れ様でした」
玄関開けて、和希君を迎えた。
「ただい、おかえり」
笑って和希君がこたえる。
「夕食、適当にしか作ってないですけど、食べます?」
実家から帰って来たばかり。適当に野菜は持って帰ってきたが、
バスの為あまり重たいものも持って帰ってこれず、本当に野菜炒めくらいしか
出来なかった。
「俺の分もあるの?もらっていいの?」
「大目には作ってあるので、味は保証しませんが」
「ありがとう、いただきます」
普通に和希君と一緒にご飯を食べている。
不思議なのに、緊張しているのに、妙に落ち着いている。
「ちょっと、味濃いめ?けど、おいしいよ」
そう言って、綺麗に食べてくれた。
「お粗末様でした」
ショックを片付けて、お土産を渡す。
何を買っていいか迷いに迷って、車好きの和希君に喜んでもらおうと思ったが
食べ物が一番いいと思って、お菓子にした。
「お、いただきます」
素直に受け取ってくれた。
「あゆみちゃん、いなくて寂しかった」
そう言って、抱きしめてきた。
「そんなこと言って、大木先輩と遊んでいたんでしょ?」
ちょっと茶化して言う。
「あゆみちゃんいないから、大木と遊ぶしかないじゃん」
ちょっと拗ねたような言い方をした。
「そんなに、寂しかったんですか?」
「あゆみちゃんは寂しくなかったんでしょ?友達みんなと遊んでいたし」
電話で話をしていたので、さらにちょっと拗ねた言い方をする。
「・・・和希君と会えないのはさびしかったですよ」
恥ずかしいが、本当の気持ちだ。
「本当に?」
「はい」
私たちはキスをした。
この日をきっかけに、毎日和希君は部屋に来るようになった。
そして、部屋で二人で過ごした後、大木先輩と遊ぶ、そんな日課。
けれど、私たちはどちらからも『好き』や『付き合う』という言葉を
言わなかった。
お互い、言ってはいけないと思っていたから。




