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甘い時間  作者: 古賀荒 にきよ
22/27

夏休み

少しずつ、暑い季節になってきて夏休み前の集中講義を取る取らないの話題になってきた。

私は、資格を取るためには集中講義の単位が欲しいので、夏休みでも大学に行く。

と言っても、たかだか2週間程度。毎日なのは面倒だが仕方がない。

「和希君はもう集中講義とかないんでしょ?」

和希君の部屋で夕食を食べながら聞いた。

「4年の夏休みは就活の大詰めだから、そもそもないよ」

笑いながら言われた。

確かにそうだ。和希君は、コネもあるので大きく就活をしなくても大丈夫らしい。

「俺も、一応あいさつ回りはしながら、どこの企業で働くか見定める予定だよ。

給料のこともあるし、これから二人で生活するためにお金は必要だからね」

そう言って、私の頭をクシュクシュっと撫でる。

「そうだよね。けど、いつ帰るの?」

「あゆみの集中講義終わったらあゆみ送りがてら帰るよ。ついでに、取り敢えず

あゆみの親御さんに挨拶だけしておきたいし」

和希君がちょっと目を大きくしながら「ねっ」という仕草をする。

ちょっと照れながら私もうなずいた。


「あゆみは相変わらず愛されてるね」

同級生の美紀ちゃんと一緒に集中講義を受けながら言われる。

「?」という顔をしたんだと思うが

「だって、夏休みなのに、三浦先輩毎日送迎してくれてるじゃない。

凄いよね、愛されてるわぁ」

羨望のまなざしで言われてしまうと照れ臭い。

「いや・・・、ね。・・・うん」

何と答えていいかわからず曖昧な言い方になってしまう。

「けどさ、当然卒業したら遠恋になるんでしょ?今はちょっとでも一緒に居たいよね」

ずっと一緒にいるのが当たり前になっていて、和希君がそばにいないと言うのがイマイチ実感がない。

「あまり実感がないんだよね、ずっと一緒にいるからさ」

「そっか。夏休みはどうするの?」

「それぞれ実家に帰る予定。和希君は私を送りがてら実家に帰るって言ってくてるし」

「じゃ、夏休みが初めて長期的に離れることになるんだね」

美紀ちゃんに言われて初めてその事実に気が付いた。


「今日ね、美紀ちゃんに言われて初めて、和希君と長期間離れるの初めてだってわかった」

迎えに来てもらった車の中で和希君に話をする。

「へ?今更?そうだよ。寂しいけど、実家にいるからちょっと安心でもあるけど。

毎日電話はするつもりだよ」

和希君が寂しいと思ってくれていたのを知れてちょっとうれしくなる。

「集中講義も明日で終わりだろ?明後日帰る、で良いんだよな?」

早く帰りたいわけではないが、実家に帰るとビアホールのバイトが待っており、そこそこの

お小遣いも稼げる。ここで、家庭教師のバイトもしているが、毎日あるわけではないのと、

夏休み期間中は、学校で出た宿題を夏休みの終わりに確認をしながらわからない所を

教えていく事になっているので、そこそこ長期の休みが取れるのだ。

「大丈夫。明日は美味しいもの食べよう」

「いいね、そうするか」

夏休み期間、集中講義があったにせよ凡そ2ヶ月、和希君と会えなくなる。








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