始まり
大木先輩と和希君と3人遊ぶことが日課になっていた。
お互いの気持ちは分かっていたがなんとなく照れくさかった。
引っ越しが落ち着いた時、一度実家に戻る事になった私。
途中までは彼らがドライブがてら送ってくれることになっていた。
前の日も夜中まで3人で遊んでいざ帰ろうとしたとき
「送っていく」
と和希君が言い出した。
彼らのアパートと私のアパートは歩いて5分。
送らなくても大丈夫と言ったが
「送ってもらえ」
大木先輩にまで言われたので送ってもらうことにした。
「明日、電話してもいい?」
毎日遊んでいて、歩いて5分のところにいたので、和希君と番号の交換をしていない事に初めて気が付いた。
「番号、交換してなかったですね。これだけ一緒に遊んでいたのに」
「気づいてなかったんだ。いつも大木が連絡してたから一緒に遊んでいたけどさ。
俺と電話したことないよ」
ちょっとだけすねたような言い方をした。
「明日、実家についたら連絡します。その前に、明日無事に送ってくださいね」
「それは、大丈夫。任せろ」
笑顔で言う。
アパートの前まで送ってもらい、番号もちゃんと交換した。
「また明日、じゃなくてまた後で」
もう、日をまたいでいた。
「あした、お迎えに参ります」
ご丁寧なあいさつを笑顔でして、和希君は帰っていった。




