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甘い時間  作者: 古賀荒 にきよ
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嫉妬3

榊さんは千佳さんを迎えに来たのは電話が終わってから10分もかからなかった。

「お、榊きたな。早いなぁ」

車の音が近づいてきて、大木先輩がのんびりと言った。

俺に併せて千佳さんの顔色が悪くなっている。

「千佳、大丈夫か?」

和希君も千佳さんの様子に気が付いた様だ。

「・・・ダメ・・・」

か細い声で言った。

「・・・ダメって言われてもなぁ」

和希君の言葉も終わらないうちに玄関のドアが開いて

「三浦、迷惑かけた」

と言って榊さんが飛び込んできた。

「いや、迷惑じゃないけど・・・」

和希君もどういったらいいかわからない様だ。

榊さんが和希君を見た後、おもむろに部屋の中を見た。

大木先輩だけではなくて私もいた事にびっくりした様子。

「あ、こんにちは・・・」

目が合ったので頭を下げながら挨拶をする。

榊さん、背が高くて顔の綺麗な人だ。

千佳さんと並ぶと美男美女。

こんなカップル居るんだなぁ、と思ってしまう。

「?こんにちは・・・、あぁ、あゆみちゃん?」

榊さんはどうやら私の名前は知っていたらしい。

「はい、吾妻 歩です」

自己紹介をした。

「大木とかからも聞いていたよ。そっか、君が歩ちゃんなんだ」

そっか、そっか、というような妙に納得したような頷きをした。

「で、千佳はなんでここに来たの?」

千佳さんの前に榊さんが座って千佳さんの顔を見たが、千佳さんは顔をそらす。

「千佳、言わなきゃわかんない。俺に何の不満があったの?」

榊さんは優しく問いかけているが、無視・・・。

「千佳、いい加減にしろよ、榊に言わないと判んないだろう?それとも

俺から言うか?」

フルフルっと首をふるが泣きそうな顔になっている。

「・・・あの・・・、なんか飲物買ってきます」

居心地の悪さが半端なくて、で、きっと後輩の私がいると

千佳さん、言いづらいんじゃないかと思った。

勝手な想像だけど、こんなきれいな人は同性のまして年下にあまり弱みを見せたくないんじゃ

ないのかな、と。

だったら、私がいない方が話しやすいんじゃないかと思ったのだ。

「いいよ、あゆみちゃん、気を使わないで」

榊さんは言ってくれるが、私の気持ちを察してくれたんだと思う和希君が

「お茶とか適当に買ってきてくれる?全部、使うなよ」

そう言って財布をそのまま私に渡してきた。

「大丈夫」

そう言って私は外に出た。


「ふーっ」

大きなため息を一つつく。

いや、だってしんどかったよ。

話も出来ないし、どうしていいかわからないし。

私がいちゃいけない気だけはしたから出てきたけどさ・・・。

さて、これからどうするかな?

ここからコンビニまで歩いて10分。

選んでなんだかんだしたら30分は時間がつぶせそう。

そう思い、コンビニに行って買い物することにした。


ちょっとしたお菓子も買って、戻ったら40分が過ぎていて、

玄関開ける前に部屋から笑い声がした。

「・・・ただいまぁ」

そっと玄関を開けると

「お帰り、遅かったな。携帯連絡したけど気付かなかったみたいで迎えに行けなかった」

和希君が笑顔で答える。

状況が全く飲み込めていないが、千佳さんも榊さんも笑っているので

まぁ、取り合えずいい結果だったんだと思う。

「お菓子と飲物買ってきたけど」

財布を和希君に返しながら、買ってきたものも渡す。

「サンキュー」

そう言って和希君は受け取り、私hあコップを用意した。

「あゆみちゃん、ごめんね、気を使わせちゃったね」

榊さんが私に謝ってれて、千佳さんにも

「ほら、お前からも謝れ」

そう言って千佳さんの頭を軽く押さえた。

「・・・ごめんなさい」

千佳さんも謝ってくれたんだけど、私が謝られる必要もなく、

「いえいえ」

としか言えない。

「あゆみ、おいで」

和希君が呼ぶので、コップ配り終わった後和希君の近くに行く。

「座って」

和希君は自分のとなりをポンポンと叩きながら言った。

「?」

隣に座ると、いきなり隣から私の後ろに回りギューッと抱きついてきた。

「ちょ、ちょっと」

ビックリして私は顔を左右に振りながら和希君の顔を見ようとするが見えない。

「いいから、いいから」

耳元で和希君は言うけれど、何が良いかわからない、っていうか、良くない!

「これが、俺のあゆみ」

榊さんも大木先輩も千佳さんも、和希君の行動にびっくりしながらも

「知ってる。あゆみちゃん改めてよろしくね」

榊さんが言ってくれて、大木先輩も

「よろしく」

と言ってくれて・・・。

私はどういう顔をしたらいいかわからずに

「よろしくお願いします」

と頭を下げた。

「よろしくね」

千佳さんも言ってくれてが顔は笑っていたが、目は笑っていなくて、

あまりにも怖くて、目をそらしてしまった。

和希君は気が付いていないのか、そのまま私の後ろをギュッとしたままでいた。



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