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甘い時間  作者: 古賀荒 にきよ
13/27

免許

ピアスは無事に和希君に開けてもらった。

氷でキンキンに耳を冷やしてから開けたので本当に痛みはなかった。

それでも和希君は

「痛くない?」

と心配そうな顔をしていた。

次の日からの消毒も和希君がしてくれた。

「自分でできるから良いよ」

と言っても、

「俺がちゃんとした方が、ちゃんと消毒できるから」

と言ってきかないのだ。

「ありがとう」

そう言って、素直にやってもらっている。


「明日にでも教習所に行って、申し込みして来ようと思ってるの」

買い物に行って1週間ほどたってから私が言った。

「お、とうとう行きますか?決心着いたんだ」

「早い方が良いかと思って」

次の日、和希君が送ってくれる車で教習所に行き、申し込みをしてきた。

たまたま、空いていた時期だったのかわりと毎日、教習を受ける事が出来て、

仮免も一発合格。

女性に対してちょっと厳しめの採点をつけると噂になっていたが、

そんなことはなかったようだ。

「仮免、おめでとう」

今日は珍しく大木先輩も一緒に夕食の時にお祝いをしてくれた。

「ありがとうございます」

ジュースで乾杯をしながらお礼を言う。

「それにしても、吾妻が一発合格するとは思わなかったな」

大木先輩が失礼な事を言う。

「なんでですか?これでも今のところエンストもしたことないですよ」

「坂道発進でも問題なし?」

和希君が聞いてくる。

「全く問題なし」

ピースサイン出してアピールする。

「じゃあ、あそこに通うのもあと少しになるんだな」

毎日、送迎をしてくれている和希君。

「ありがとうございます」

改めてお礼を言った。

「免許取ったら乗せてもらうから良いよ」

笑って答えてくれる。

本当に優しいな、と思う。

「ところで免許取ったら車どうするの?」

大木先輩に聞かれるも、全く考えて入ない事だった。

「いや、今のところ何にも考えてないよ。和希君と一緒の時は

私に車必要じゃないしね」

「確かに。けど、俺ら今年卒業だぞ?」

そういわれて、初めて二人が4年だったことを思い出した。

「あー、それまでに・・・」

考える、という言葉を言う前に

「俺の今の車乗ればいいよ。ちょうど、今年で車検切れるから

そのまま上げる。車検はちゃんと自分で取るように。

俺は新しい車買うから」

サラッと和希君が言う。

「へ?車買うの?」

「うん。迷ってはいたんだ。今の車かわいいし気に入っていってるから。

けど、あゆみが乗るなら俺新しい車買うのも良いなと思って」

車ってそんな簡単にあげるとかじゃない気がする。

「いや、ダメだよ。ちゃんとしないと。本当に和希君が車を買うなら、

私も和希君からちゃんと買う」

というと、

「いいんだよ。大事に乗ってくれればそれでいい」

そう言ってくれて私の頭をくしゃくしゃにした。

「良かったじゃん、あとはちゃんと免許取れるかだな」

大木先輩に言われて

「それは大丈夫」

そう答えるも、本当にもらっていいものか考えていた。


お祝い会が終わって、軽くドライブして、運転テクニックなんかも少し教えてもらって

大木先輩と別れて和希君の部屋に戻ってきた。

「さっきの車の話なんだけど・・・」

「ん?本当にあげるよ。ただし条件はある。

俺があゆみの運転を見て良しと言うまでと、俺が車を買うまでは

あげない。車検は自分で取るように」

「本当に車検代だけでいいの?和希君にもちゃんと支払はないと」

「いいよ。本当に新しい車買う予定だったし」

「そしたら新しい車の代金の一部に・・・」

「いらないよ、本当に。あゆみからお金なんてもらえないよ。

俺が良いって言っているんだから『ありがとう』でいいの」

そう言ってギュッと手を握ってくれた。

私は和希君をギュッと抱きしめて言った。

「ありがとう」


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