ピアス
お揃いの指輪を買った。
ちょっと、照れ臭い。
「働いたら、ちゃんとしたのあげるからそれまではこれで我慢してね」
和希君はそう言って、左の薬指にハメてくれた。
「俺にもして」
左手を私に出す。
私も和希君の左手の薬指に指輪をはめる。
ちょっと照れた笑いをして、そのまま手をつないで買い物を続けた。
この日、指輪とピアスのほかに、二人で色違いのパーカーも買った。
ちょっとずつ、二人の物が増えていくのがうれしい。
帰ってきて、買ったピアスを付けてみる。
「どう?似合う?」
「可愛いいよ、似合ってる」
そう言って笑ってくれた。
「実はさ、ピアスって奇数が良いって言うでしょ?だからもう一つ
開けたいなって思ってるんだよね」
新しいピアスを片付けながら言った。
「え?まだ開けるの?」
和希君が驚きの声をあげた。
「うん、だって・・・」
だっての後が続かない。
「ダメ?」
「・・・ダメじゃないけどさ。痛そうで」
「大丈夫だよ、冷やせば痛くないもん」
私が笑って答える。
「わかったよ。俺が開けてあげる」
ニヤッとした笑いをして
「冷やさないでそのままブスッと針させばいいんだろ?」
と続けた。
「嫌だ、そんな痛いの嫌だ。意地悪だ」
「だって、俺はこれが良いの」
そういいながら私をギュッと抱きしめてきた。
「君はもう、自分だけの体ではありません。だから勝手に
身体に穴をあけてはいけません。俺が許しません」
「えー、だって可愛いピアスいっぱいしたいもん」
「耳は2個しかありません。だから、2個で十分」
「奇数だと運気が上がるっていうんだもん、開けたい」
上目遣いで和希君に言ってみる。
「・・・そんな顔したらダメって言えないじゃん。
俺は痛い思いしてほしくないだけなんだけど?今でも十分に可愛いから
開けなくても良いと思うんだけど?」
「・・・ダメ?」
再度上目遣いで攻めてみる。
「・・・わかったよ、いいよ。
けど、開けるのは1つだけだよ。それ以上はダメだからね。
俺の物に傷つけるなんて許せないんだけど、仕方がない」
「ありがとう!明日、ファーストピアス買ってくる」
「明日開けるの?」
驚いた顔をして聞いてきた。
「だって、和希君の気持ち変わったら困るから」
すると、とてもやさしい顔をして
「一度、良いよ、と言ったんだから良いよ」
と言ってくれた。




