地平への旅立ち
「『能力開示』」
最後に研究者たちを見たのは俺が『透過』のスキルを習得して、
試しに外に出ようとした時だった事を思い出し、
俺は自身の能力を視覚化できるスキル『能力開示』を使って、
習得したスキル欄を確認した。
会得したスキルの表示は基本的には上から習得順に並んでいる。
スキルは毎年自身の誕生日に1つずつ増えていくから、『透過』の後に
習得したスキルの数を見ればどれくらい時間がたっているのか分かると思ったからだ。
「うわぁ……、なんだこの数」
思わずそんな言葉を漏らしてしまう。
スキル『透過』の下にはズラリとおびただしい数のスキルが並んでいた。
先程から指で目の前に浮かび上がるウィンドウに触り、表示をスライドさせているが、
終わりが見えない。
千? 万? 億?
どうやら俺はあの部屋で
おそろしい年月を過ごしていたようだ。
「まぁ、これだけのスキルを所持してれば何があっても大丈夫だろうけど……」
ひとまず前向きに考えることにした。
過ぎた年月を悔いてもしょうがない。
「……とりあえず、所持しているスキルの効果でも確認するか」
俺は周りに生い茂っている木々に向かって試しに
『劫火爆炎』というスキルを発動させてみた。
選んだ理由は特にない。
ウィンドウをスライドさせる指が偶々指していて目にとまったからだ。
しかし、俺はその行為をすぐに後悔することになった。
バァァアアン!!
と、俺の指先からは視界を全て覆うほどの凄まじい炎が噴き出したのだ。
もう、赤いとか青いとかそういう次元の炎ではない。
何か白い、目がチカチカする熱量が激流となって辺り一面を飲み込んだ。
「熱っつ!! 熱っつい!!? 消火!? 消さないと水!! 水!!」
膨大な炎は当然木々と一緒に俺自身も飲み込み、
その熱さに思わず悶えた。
見た感じ人間が耐えられるレベルの炎ではないが、
それでも俺が無事なのはきっと自分のスキルで生み出した炎だからなのだろう。
ウィンドウを探り、現状を打開できそうなスキルを見つける。
そして、すぐさま『空間放流』のスキルを使用した。
すると自分の頭の上に黒い球体が現れ、ものすごい勢いで周囲の炎を
飲み込み始める。
ゴオオオオと猛々しい音が響くが、不思議と俺自身はその影響を受けなかった。
あっという間に鎮火し、周囲には文字通り草の根1つ残らなかった。
それは地平線の彼方まで続き、地面は高温で熱せられたからか今だ真っ赤に輝いており、
大気が揺らめいている。
「なんて恐ろしい威力のスキルだ……、危うく死ぬところだったな」
そういえば、年に一度もらえるスキルはランダムで
種類や効果の威力に法則性はないらしいが、
スキルの性能は年々高まることが多いんだっけか?
俺を調べてた研究者が言っていた言葉を思い出す。
だから、『不老』のスキルをもつ俺は、この先どれほどの力を手にするのだろう……と。
「とんでもねえ結果だったな……、今後はコントロールの効きやすいスキルかどうか確認して使わないとな」
しばらくは実用的なスキルを調べることにしよう。
それと……、
「人間を探さないとな!!」
一人はやっぱり寂しいので、自分以外の人間を探しに
地平の彼方に向かって歩き始めた。




