表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

もうひとつの昔話(パロディ)

竹取物語 (もうひとつの昔話19)

作者: keikato

 かぐや姫が月に帰ってから、またたくまに三年の月日が流れました。

 そんなある日。

 おじいさんはかわらず竹取りをしていました。

「おっ!」

 一本の竹の根元が光り輝いています。

 おじいさんはさっそく光る竹を切りました。

 すると、かぐや姫のときと同じ、竹の中には背丈が三寸ほどの赤ん坊がいたのであります。


 三年前。

 五人の高貴な方たち、それに帝までもが、かぐや姫に熱を入れあげ、ありあまる金銀財宝を準備して求婚してくれました。

 ところがです。

 かぐや姫がつれなく袖に振ったので、おじいさんは金品をもらいそこねてしまいました。

――今度こそ……。

 そう、今度こそは金品を手に入れようと、おじいさんは赤ん坊を屋敷に連れ帰りました。

「まあ、なんてあいらしいんでしょう」

 月の者に知れたら、かぐや姫のように連れて行かれてしまいます。

 おばあさんは家の中にかくまい、その子を大事に大事に育てたのでした。


 その子はすくすくと育ち、かぐや姫に負けないほどに美しくなりました。

「いよいよじゃな」

「ええ、いよいよですね」

 おばあさんはその子を美しい着物で着飾り、おじいさんは都の大通りを連れ歩きました。

「おう、なんという美しさ!」

 みながその子に目をうばわれます。

 やがて……。

 その子の評判は都じゅうに知れ渡ることとなり、帝をはじめ、あまたの者からさっそく結婚の申し込みがありました。

 おじいさんは求婚者に伝えました。

「貢ぎ物の一番多い者の嫁になりたい。娘は、こう申しておりますのじゃ」

 さらには手付け金を要求したものですから、屋敷の倉は金銀財宝であふれました。


 そうしたある日。

 その子が庭で行水をしていましたところ、たまたま屋敷を訪れた者にのぞき見られてしまい、その子が男であったことが、またたくまに都じゅうに知れ渡ってしまいました。

 いまさらご容赦願えることではありません。

 おじいさんはたいそうこまってしまいました。

「ワシら、帝からひどいおとがめを受けるぞ。この子だけは、なんとか助けてやらねばな」

 三人は山の奥深くへと逃げこみました。

 それからは月の者や帝に見つからぬよう、山奥でひっそり忍び暮らしたのでした。


 十年の月日が流れます。

 老夫婦はこの世を去り、成長した男は山奥で竹取りをしながら暮らしていました。

 この日。

 男は竹取りをしていました。

「おっ!」

 一本の竹の根元が光り輝いています。

 竹の中にいるのは、はたして男の子なのか、それとも女の子なのか……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 繰り返しのユーモアですね。男だったというアイデア、面白かったです。最後、男か女か気になります。歴史はまた、繰り返されるのでしょうか?
2018/03/18 07:02 退会済み
管理
[良い点] 発想に意表を突かれました。 竹から生まれるからと言って女の子とは限らず、男女半々の確率ということだったのですね。 面白かったです。
[良い点] 笑いました。 こういう展開は考えてませんでした。(〃艸〃)ムフッ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ