二十一話
「あのクソが……。サボりか? にしても一言ぐらい連絡入れろや」
零士は苦々しげにそうぼやいていた。それもそうだろう。零士の仕事は嵐の監視なのだ。その嵐の手綱を握れていないなどと上層部に知られてしまえば、減俸は免れないだろう。
そんな時、ふと零士のポケットに入っているスマホが揺れる。
マナーモードにするのを忘れていたことに慌てながらも、周囲には気づかれていないことを安堵しながら、周囲に気付かれないように画面を確認した。
メールが来ているのを知らせていたようだ。メールを開いてみると、そこにはこう書かれていた。
『誰がクソじゃ。ボケが』
「嵐! 貴様、見ているな!」
零士は慌てて立ち上がって周囲を確認する。だが、教室内のどこにも嵐の気配はしなかった。
「どうした? 急に立ち上がったりして」
そして、自分に怪訝な視線を向ける周囲と担任の姿に気付いた。
零士は努めて平静を装うと、
「すいません。持病の発作が……」
「急に奇声を上げて立ち上がる持病なんてお前もってたか……? まあ、いい。とりあえず、今はHR中だ。座れ」
「すいませんでした」
多少、変な目で見られてしまったが、そのことは思考の端にでも追いやることにしよう。気にしていたら死にたくなるしな。
零士は嵐に色々と聞きたいことがあったので、メールで聞き出すことにした。
零『何でさぼってやがるんだよ!』
嵐『急に授業がめんどくなった』
零『なら、事前に一言ぐらいいれやがれ!』
嵐『ハァ? なぜにそんなことをせねばならぬ。貴様はこの俺様の保護者気取りか。反吐が出るから悔い改めろ』
零『なぜにそこまで辛辣に言われなければならんのだ!』
嵐『理由なんて要るのか?』
零『……もうあきらめることにする。それで? 今どこにいるんだ? どうせ未来と一緒にいるんだろ?』
嵐『まあな。部室でてきとうに過ごしてるよ』
零『わかった。気が向いたら授業に出てくれよ?』
嵐『カッ。めんどくせぇ』
こんな感じでメールのやり取りは終わった。
零士の口からは大きなため息が漏れた。
誰か、誰でもいい。嵐を制御するためのリモコンか、嵐の取扱説明書を作ってくれ。




