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腹減ったなぁ……

作者: あまうさ

これに共感できる人……お財布のレシート整理しましょうね……

 丸々と太った財布を見て、俺は溜息を吐くばかり。ここ数日の食事と言えばとてもまともな物じゃない。

「具無しカレーに具無しパスタ。白米だけで腹を膨らませる〜とか、ゆでた麺だけを食べる〜じゃないからまだマシなのか?」

 目の前に並ぶ調味料はどれも瓶いっぱいであったり、袋いっぱい。味付けには苦労しない状況がさらに俺の胃袋を刺激する。

 一時は調味料だけでもいけるんじゃないかと思った。でも、調味料は食材ではない。奴らは所詮、味に変化を与えるための存在であって俺の腹に変化を与える存在ではない。

「味の○……あんまりおいしくなかったな……」

 思い出すだけで腹が鳴った。



 パソコンの前に座って節約レシピを検索することが日課になりつつある。もちろん、食材を買う金が無い俺はレシピばかり覚えて実際に料理することは無い。

「無駄に余った米を炊いて、画像をオカズにウマイウマイ言うのも末期だし……」

 大抵、俺はそうやって極力体を動かさないように日々を過ごして一日を終える。それでも、腹が空いた時は……

「寝る。寝れば気にならない。そして、起きたら忘れてる」

 だが最近は寝ても覚めても空腹感に見舞われる。それどころか、空腹で目が覚めるという最悪の状況が発生しつつある。そうなると、仕方なく米を炊く。

「もし、米も無かったら俺はどうやって生活するんだろ……そうか、小麦粉を摂取すればいいのか」

 マリー・アントワネットいわく「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」ということらしい。小麦粉がある俺はどちらも食べることができる意味では勝ち組というグループに所属しているのかもしれない。そう思うと少しだけ心が軽くなる。そして、自分の状況を悟る。

「まともな思考回路じゃありませんね……」

 精神病患者として119番に電話して病院へ搬送してもらうのも悪くない。あそこには食糧がある。完全に満たされない、あまり美味しくない……それでもあそこには食糧が……おそらく、こんな無駄な思考さえ俺の空腹に拍車をかけているのかもしれない。

「あぁそうか……俺の体は動いてるじゃないか……ただそれが体の外部に現れているかいないかの違いだけで、俺の頭は料理を精一杯思い浮かべることでいつも以上に動いてるじゃないか……」

 とりあえず思考停止。雑念を捨てよう。そうだ、これは断食なんだ。最近ブームじゃないか。俺も断食で痩せるんだ。そういえば、今年度初期にあった身体測定、体重がいつもより5キロくらい軽くなってたけど……気のせいだよな……



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