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そのはずだった。
俺は、帝国に裏切られていることにはやく気づくべきだった。
畜生。笠松のやつ、何をした。
おかしい。
五大都市に設けられた、いくつもの発射装置が発動しない。
それどころか、笠松の電話番号が不在着信でかかってきてはいるが、出られない。
笠松……じゃないのか。
誰がこんなことを。
考えても、考えても答えはでない。
どうしろという。
俺にどうしろという。
何もできないのか。結局は俺は何もできやしないのか。
太ももを叩き、目を瞬かせる。
こんなことしていられないだろう。
待てよ。
末永は言っていたよな。
私利私欲が混ざれは成功しないって、言ってたよな。そうか。そういうことだつのか。
俺は灯台の下で、コンタクトを日が暮れても尚探し続けているかのように。
視野が狭かった。
曇ったレンズで、遠くを見ては、「あ」と声に出す。
あの女がウインクしているのが目に取れた。
言いやがったな。
畜生。言いやがったな。
栗原リカにしてやられたんだよ。
ビルの屋上で、あの女が手を振っているのがわかる。
悔しかったが、これ以上は何も言えない。
泣き寝入りするしかないのか。
こうして、俺の計画は失敗に終わる。
全て失うとはこういうことなのか。
「ただね、僕にもどうなるかわからないんだ。うまくいくか、それとも……」
末永は言っていた。
それとも……のあと、俺はそれ以上言わなくていいと言ってしまった。
聞くべきだった。
なぜ聞かなかったのだろう。
どうして、そんな愚かな真似を。
俺はしてしまったのだろう。
時間は帰ってこない。
金も返ってこない。
どちらも浪費し続け、いつか俺は帝国への反逆罪で、捕まる。
ノンシュガーよろしく、ビターな缶コーヒーを飲み終えると、俺は警察署に出向いていた。
出頭する。
だから、これ以上は計画の邪魔をしないでくれ。
必ず、俺は戻ってくる。
負けていられない。
黙ってもいられない。
やる時はやる。
なぜなら、真実はいつもひとつだろう。
俺にとっての真実はいつもひとつだ。
やってやろうか。
俺がやらなきゃ誰がやる。
全ては末永のシナリオ通りに。
「お巡りさん、こんな顔知りませんか?」
「……入っていいぞ」
俺は警察に扮すると、警棒を手にし、窓ガラスを割ってやった。車に乗り込み、研究施設へと向かう。
「待たせたな。ようやく自由だ」
「こちら、田中だ。準備はよろしいか?」
「ああ、もちろんだ」
「発砲を許可する」
目の前に、火の気が上がった。
そうか。俺がやったんだな。
大したんもんだ。
顔は青ざめていた。
でも、こうするしかなかったんだ。
すまないな。




