5
女の名前はリカだ。
俺には、特に興味を示さなかった。
視線を左右にやり、何かに気を取られているのか。
それとも、何かを探しているのか。
ひょっとして、監視カメラだろうか。
この店にはないはずなんだが……
赤いワンピースに重そうな金色のピアス。
そうか。
こいつがそうか。
「あんた、リカだろ?」
「そうよ。栗原財閥の栗原隆の娘よ」
ふふふ。面白いな。
まさか、いきなり名乗ってくるとはな。
本当に繋がっている。
金の出所を調べるか。
「質問だが、栗原財閥はどこから莫大な金を得ている」
「財閥には企業群があるわ。収入源はそこからよ」
あり得ない。
億を超える金を中小の企業群が稼げるか?
本題だ。
ここからだ。
「これはなんだ?」
俺は予め用事しておいた書類を取り出す。
紛れもない証拠だった。
栗原隆が兵器や武器、軍事産業に加担していること。
人身売買を行なっていること。
違法賭博を行なっていること。
全てシナリオ通りに、リカという女に見せた。
全て暴かれていた。
リカは言葉が出ないのか。
それとも知らないのか。
口を手で塞ぎながら、目を見開いていた。
これでいいんだよな末永。
「わかった。金で解決させる」
そうきたか。
予想はしていた。
帝国と密接な関係にある栗原財閥ならば、金を用意することは理解していた。
大方だ。理解はしていた。
俺はリカの隣に座ってやった。
「どういうつもり」
彼女の腰に拳銃を突きつけ、動くなとこぼしてやる。
「わかった」
俺は厚めのコートを着ていたから、拳銃が隠れていた。
栗原財閥は大きく傾く。
そうだ。誘拐だ。
栗原リカは失踪し、栗原財閥の株価が大きく下がる。
誰も何もできない。
全てはシナリオ通りに。
---
誘拐し、金銭を要求する。
栗原財閥は帝国と密接なつながりがある。
このを抑えれば、あと少しなんだがな。
末永くんさ。
すごすぎるよ。
俺の目の前には、札束が山のように置かれている。
さて、この金をどう使おうか。
『宝籤』
この金を何度も使い、当選させる。
末永が用意していたどこぞの番号は、見事に宝籤のヌシを当ててみせた。
54億。
これだけがあれば、暮らしには困らない。
まあ、遊んで暮らそうとは思えばできないことはないが、生活水準が下がるかもしれない。
やってみる価値はあると思うがな。
さて、末永くん。
次はどうしようか。
この54億を何に使おうか。
「金は用意できてるか?」
「もちろんだ」
「俺は笠松だ。よろしくと行こうか」
「頼むよ」




