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俺は気がつけば、泣き叫んでいた。
戦争の無慈悲さを、悔しさを手に土を掴み、怒りを露わにした。
ああ、もうどうしたらいいんだ。
急に現れたと思ったら、いなくなるよな。
末永はビルの屋上から飛び降りたらしかった。
なんで、そんなことをしたのか。
俺にはわからないし、理由もいまだにわからない。
ただ一つ奇妙なのは、末永の遺体が見つからなかったこと。
いくら未来人とはいえ、あり得ないことだった。
どんな奇術を使ったのか。
不思議で仕方がない。
佐藤と俺が軍警により、調べられた。
末永に関する事情聴取が行われ、怒った顔の怖いお兄さんが、俺たちに詰問する。
「知らないんだ。本当に知らないんだ」
ここまでは台本通り、あのビルの爆破も全て計算されている。
彼には、ことごとくまるで手のひらの上で弄ばれているかのように、俺以外が踊らされていた。
話を聞いていたから、俺ももちろんこうなることを知っていた。
すまんな。ノンシュガー。
なぜか、スイッチの指紋は佐藤の指紋が検出され、爆破テロを行った張本人として、佐藤が現行犯逮捕された。
正直言って、佐藤を失うことが辛かったが、佐藤はあまりいいやつではなかった。
ジミーズの中でも、特別目立たないが、女に甘いからなのか。
佐藤には女友達がいたんだ。
その女友達の家に転がり込み。
所謂ヒモと呼ばれる職業をしていた。
気になるところだが、トリックは簡単だ。
末永が持っていた爆破スイッチには、佐藤に触らせてあった。
もちろん、佐藤が触るタイミングなんて、どこにもない。
末永は細心の注意を払い、手袋をしていた。
いや、未来人ともなると遺伝子操作が可能だから、指紋を消すぐらい容易いのかもしれないが、末永はそれを行わなかった。
なぜなら、そこにはちょっとした仕掛けがあったからだ。
佐藤の指紋にすり替える。という、末永の渾身の反撃が為された。
佐藤は知らないふりをして、必死に罪を晴らそうとした。
だが、それも計算の内。
俺は毎日、佐藤に会い面会に行った。
「大丈夫だ。冤罪に違いない。いつか免れる」
「そうだよな。俺、大丈夫だよな」
あーあ、嘘をついた。
佐藤、お前はピースなんだよ。
帝国をひっくり返すための鍵でもある。
佐藤は地味なやつだったが、帝国の上層部の女の所に転がり込んだらしい。
それが狙いだった。
俺はその女に近づき、脅した。
「佐藤ちゃんはどこにいるの?」
「あいつのどこがいい。話がある。いっぱい奢る」
俺は、そう吐き捨てると、その女を金魚のフンのように歩かせた。




