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同窓会で居酒屋に来ていた。
でも、末永の姿はそこにはなかった。
遅れてんのかなって俺は思ったんだ。
様子がおかしくて、同窓会が終わって、皆何事もなかったかのように、二次会やらタクシーを呼んでいる。
佐藤を捕まえたので、訊いてやった。
「末永だよ。末永。え、知らない? だから、あの末永だって」
あれ、なんかおかしくね。
そんな奴いないってどういうことだ?
居ただろ。
なんでも予言しちまう。百発百中の末永。
あれ、そんな奴いたっけ?
俺までなんだかおかしくなってきた。
三十路にもなってフリーターをしている俺は、二次会には行かなかった。
流石に、三十路にもなってくると、老けてるやつや、ハゲ散らかしてるやつ。
金持ちになってるやつや成功している奴などなど。
みんな、何かしらの変化は起きてた。
でも、なんでなんだろう。
末永って、特徴のないやつだったな。
今どうしているかと言われれば、想像できない。
末永のことを調べてもよかった。
でも、なんか調べるほどの行動には移せなかったんだよな。
昔から、俺はそうだった。
かけっこも三位でいいし、テストも赤点じゃなければいい。
顔も普通。
声も普通。
とにかく普通なんだよな。
俺は、バイトを終えると、自転車で家に向かった。
目の前に人が飛び出してきたもんだから、急ブレーキをかけた。
「あぶねっ。何してんだよ」
よく見てみると中坊だった。
このガキを懲らしめてやろうと、自転車から降りる。
「工藤。俺だ」
「なんで、名前知ってんだよ」
「俺だ、末永だ」
末永? 何言ってんだ?
あいつもし生きてたら、三十だぞ?
「ダメか。やりな……」
「ちょっと待て。本当に末永か?」
「そうだと言っている」
「いや、おかしいだろ。なんで転校した時から歳取ってないんだ?」
「俺は未来人だからな。歳を取らないんだ」
意味わかんねえ。
何言ってんだ?
「証拠だ。でもなければ、信じないだろう。
工藤武。年齢は32歳。彼女はいない。フリーター。彼女いない歴イコール年齢。よくいくキャバクラは……」
「わかった。信じればいいんだろ」
なんで知ってる。余計なこと言うなよ。
「ところでよ、なんでまたこんな現れ方したんだよ」
「覚えていないのか?」
覚えていない?
なんのことだ?
末永はいつも予言を的中させていて、変人じみた行動が多かったな。
でもって、なぜか帽子を被ってるんだ。
いつの日か、訊こうと思って、聞けていなかった。
「なんのことだよ」
俺は、何かを忘れている気がしないでもなかったが、依然として思い出せないので、末永に少し荒っぽい態度で訊いてやった。
「十二月、自転車の前で」
「あ」




