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成仏って、死んだ人のためじゃなか。生きてる人のためにあるとよ
成仏って、死んだ人のためじゃなか。生きてる人のためにあるとよ
ビブレでの夜は、いくつも重なり、いつの間にかサキにとって忘れられない記憶となっていた。
ある晩、ユキエが言った。
「私ね、成仏屋なのよ」
冗談のような口ぶりだったが、誰も笑わなかった。
「成仏って、死んだ人のためじゃなか。生きてる人のためにあるとよ」
その言葉に、サキはハッとさせられた。
誰かが頷いた。たしか、それはタカコだった気がする。
列車が減速し、車内アナウンスが流れる。まもなく大牟田に到着するという。
サキは窓の外を見つめながら、そっと目を閉じた。
――成仏とは何か。
その答えを探しに、彼女はこの町に帰ってきたのかもしれない。




