光の影と代償
夜明け前の歌舞伎町。
雨に濡れたネオンが、街全体を淡い金色に染める。
クラブ「NEO」の外、瓦礫と散らばったボトルの残骸の中で、PrinceTAIは立っていた。
掌にはまだ、光の刃――“和魂ノ剣”の余韻が残る。
Jは地面に膝をつき、唇に血がにじむ。
だが、その瞳には憎悪だけではなく、どこか懐かしい影が揺れていた。
「……お前……やはり、ただ者ではなかったか」
Jの声には、微かに昔の感情が混ざっている。
「そうだ。俺は転生者。千年を超えて、守るべきもののためにここにいる」
PrinceTAIの瞳に、戦いの疲れと決意が同時に宿る。
しかし、その力には代償があった――
剣の力を使うたび、体力だけでなく、記憶の一部が失われていくのだ。
「くっ……体が……記憶が……」
PrinceTAIは息を吐き、かすかに手を胸に当てる。
⸻
その時、咲が駆け寄った。
「PrinceTAI、大丈夫!?」
濡れた髪が雨に揺れ、瞳には恐怖と心配が入り混じる。
「咲……そなたの笑顔を守るため、俺は戦う」
PrinceTAI は微笑むが、その目はどこか遠くを見ていた。
麗も現れ、咲の肩に手を置く。
「大丈夫、PrinceTAIは生きてるわ。私たちも力を合わせる」
二人の想いが、PrinceTAIの背中を押した。
雨の中、三人の影が一つに重なる――まるで千年前の約束が、再び結ばれたかのように。
⸻
一方、Jは立ち上がる。
「……まだ終わらん」
彼の瞳の奥には、怒りと哀しみ、そして未練が渦巻いていた。
千年前、PrinceTAIに敗れた過去が、今も彼を縛り続けているのだ。
「俺もまた――終わらせなければならぬ」
Jの体から黒い霧が立ち上る。
その姿は、もはや人の形を超えていた。
「来るか……J」
PrinceTAI は覚悟を決める。
金色の刃が再び輝き、風に乗って夜の街を切り裂いた。
⸻
戦いはまだ続く。
しかし、PrinceTAIは気づいていた――
力の代償は大きい。
だが守るべきもの、信じるものがある限り、立ち止まるわけにはいかない。
咲と麗――二人の想いが、PrinceTAIに力を与える。
千年の時を超えた友情と愛情が、夜の街に新たな光を生み出す。
雨は止み、ネオンの光が水面に反射する。
戦いの余韻が街を包む中、PrinceTAIの目には、希望の光が宿っていた。




