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ホスト太子 〜歌舞伎町の救世主〜  作者: 櫻木サヱ
夜の新世界✮*。゜
9/16

光の影と代償

夜明け前の歌舞伎町。

 雨に濡れたネオンが、街全体を淡い金色に染める。

 クラブ「NEO」の外、瓦礫と散らばったボトルの残骸の中で、PrinceTAIは立っていた。

 掌にはまだ、光の刃――“和魂ノ剣”の余韻が残る。


 Jは地面に膝をつき、唇に血がにじむ。

 だが、その瞳には憎悪だけではなく、どこか懐かしい影が揺れていた。


「……お前……やはり、ただ者ではなかったか」

 Jの声には、微かに昔の感情が混ざっている。


「そうだ。俺は転生者。千年を超えて、守るべきもののためにここにいる」


 PrinceTAIの瞳に、戦いの疲れと決意が同時に宿る。

 しかし、その力には代償があった――

 剣の力を使うたび、体力だけでなく、記憶の一部が失われていくのだ。


「くっ……体が……記憶が……」

 PrinceTAIは息を吐き、かすかに手を胸に当てる。



 その時、咲が駆け寄った。

「PrinceTAI、大丈夫!?」

 濡れた髪が雨に揺れ、瞳には恐怖と心配が入り混じる。


「咲……そなたの笑顔を守るため、俺は戦う」

PrinceTAI は微笑むが、その目はどこか遠くを見ていた。


 麗も現れ、咲の肩に手を置く。

「大丈夫、PrinceTAIは生きてるわ。私たちも力を合わせる」


 二人の想いが、PrinceTAIの背中を押した。

 雨の中、三人の影が一つに重なる――まるで千年前の約束が、再び結ばれたかのように。



 一方、Jは立ち上がる。

「……まだ終わらん」

 彼の瞳の奥には、怒りと哀しみ、そして未練が渦巻いていた。

 千年前、PrinceTAIに敗れた過去が、今も彼を縛り続けているのだ。


「俺もまた――終わらせなければならぬ」

 Jの体から黒い霧が立ち上る。

 その姿は、もはや人の形を超えていた。


「来るか……J」

PrinceTAI は覚悟を決める。

 金色の刃が再び輝き、風に乗って夜の街を切り裂いた。



 戦いはまだ続く。

 しかし、PrinceTAIは気づいていた――

 力の代償は大きい。

 だが守るべきもの、信じるものがある限り、立ち止まるわけにはいかない。


 咲と麗――二人の想いが、PrinceTAIに力を与える。

 千年の時を超えた友情と愛情が、夜の街に新たな光を生み出す。


 雨は止み、ネオンの光が水面に反射する。

 戦いの余韻が街を包む中、PrinceTAIの目には、希望の光が宿っていた。


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