夜の追跡者
ネオンの灯りが滲む夜の街。
その喧騒の奥、冷たい雨がアスファルトを叩いていた。
聖徳太子――Prince TAIは、息を潜めながら裏路地を駆け抜ける。
「来たか……“J”」
背後から、黒ずくめの男たちが静かに追い詰めてくる。
夜のホスト街に巣食う裏組織。その中心にいる男――“J”。
彼はPrince TAIの「覚醒の力」を狙っていた。
息が白く揺れる。
鼓動が、PrinceTAIの胸を強く打ち鳴らす。
その頃、クラブ「NEO」のVIPルームでは、咲が一人、彼を待っていた。
しかしドアの外――
「……やめてくださいっ!」
咲の声が震える。
Jの部下たちが、静かに彼女へと歩み寄っていた。
「太子の女は……“おびき寄せる”のにちょうどいい」
⸻
「――咲!!!」
裏路地を抜けたPrinceTAI、クラブへ飛び込む。
その瞬間、バーカウンターの奥から、麗が姿を現した。
月光色の髪をなびかせ、麗は冷静な瞳で言う。
「間に合ったみたいね。あんた、狙われてるのよ」
「心得ている」
ふたりは目を合わせた瞬間、呼吸を合わせた。
麗はバーカウンターのボトルを蹴り上げ、敵の視界を奪う。
PrinceTAIは、迷いのない動きで一歩踏み出した。
――それは、まるで剣舞。
彼の指先から、一瞬、金色の光がほとばしる。
Jの部下が踏み込んだ瞬間、空気が揺れた。
周囲の照明が一斉に明滅し、太子の背後に古代の紋様が一瞬だけ浮かび上がる。
「……これが、俺の……力?」
麗が一瞬、驚きの表情を浮かべる。
PrinceTAIの瞳の奥に、千年の記憶がよぎった――。
⸻
「退け!!!」
PrinceTAIと麗は、息ぴったりの連携で敵を倒していく。
麗が放つ華麗な蹴りと、PrinceTAIの一閃のような動き。
まるで夜の闇を切り裂く、光と影の舞。
咲は床に座り込んだまま、震える手で太子を見上げた。
「PrinceTAI……これ、いったい……」
PrinceTAIは振り返り、静かに微笑んだ。
「守るべきものがあるとき、人は強くなる。咲……そなたも無事で何よりだ」
その言葉とともに、背後でJの冷たい声が響く。
「――やはり、覚醒しかけているな。PrinceTAI」
暗がりから姿を現した“J”。
夜の支配者が、ついに動き出した――。




