記憶の扉(Memory Gate)
深夜0時を過ぎた街。
煌めくネオンの海の中で、クラブ「NEO」は異様な静寂に包まれていた。
表通りの喧騒も、車の音も、まるで誰かが意図的に“消した”かのように途絶えている。
Prince TAIは入口の前に立ち、風の匂いを嗅いだ。
焦げたような、鉄のような――それは、闇の波動。
「……やっぱり、来たか。」
彼の声に、隣の麗が頷く。
「外に十数人。すべて“継承者”ね。普通の人間じゃないわ。」
咲が拳を握る。
「でも、ここはあたしたちの場所……! 何もさせない!」
Prince TAIは静かに微笑み、咲の肩に手を置いた。
「心強いね。でも、無理はするな。守るのは俺の役目だ。」
⸻
次の瞬間、空気が弾けた。
ドン――ッという衝撃と共に、フロントのガラスが粉々に砕け散る。
黒いフードを被った者たちが、煙の中から現れた。
彼らの手には、暗い光を放つ“印”が刻まれている。
「Prince TAI……この時代でも、貴様は厄介だな。」
その声を聞いた瞬間、Prince TAIの瞳が金に染まった。
「厄介なのは、お前たちの方だ。」
彼の足元から、金色の光の波紋が広がる。
店の中に飾られたシャンデリアが共鳴するように揺れ、ガラスの欠片が宙に舞った。
⸻
「いけ、封印を破壊しろ!!」
敵の一人が叫んだ瞬間、床下から黒い炎が噴き上がる。
「NEO」の内装が燃え上がり、赤と黒の光が交錯した。
咲が悲鳴を上げる。
「TAIっ!!」
Prince TAIは咲を抱き寄せ、炎の向こうに視線を向けた。
金の光が掌に宿る。
「……俺は、この街も、この店も、仲間も――誰も渡さない。」
その瞬間、光が爆発した。
壁に刻まれた“闇の紋章”が一斉に砕け、敵たちが弾き飛ばされる。
麗が目を見開く。
「……これが、真の王子の力……!」
⸻
炎の中で、Prince TAIの背中に光の羽が浮かび上がる。
闇と光、その境界で、彼はただ一人立っていた。
「千年の封印よ――いま、再び解き放たれよ。
そして俺の手で、終わらせる!」
夜空が裂けるような閃光が走り、燃える「NEO」を包み込んだ。
敵の影が消えていく。
だが同時に、Prince TAIの身体から力が抜けていくのを感じた。
咲が駆け寄り、彼を抱きとめる。
「やめて! 無理しないで!」
Prince TAIは微笑む。
「……大丈夫。夜はまだ終わらないさ。」
そして静かに目を閉じた。




