表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ホスト太子 〜歌舞伎町の救世主〜  作者: 櫻木サヱ
王子の夜明けII ~新たなる陰影~
23/30

光と影の狭間

朝と夜のあいだ。

 街は目を覚ましはじめ、看板の明かりが一つ、また一つと消えていく。

 けれどその片隅、クラブ「NEO」のバックルームだけは、まだ薄暗い静寂の中にあった。


 Prince TAIは鏡の前に座り、ネクタイを緩める。

 鏡越しに映る自分の目の奥――そこには、今も金色の光が微かに残っていた。


「……抑えきれねぇな。」


 呟いたその声は、どこか痛みを含んでいた。

 封印が完全に解けたわけではない。

 しかし、“闇の継承者”との戦いで引き出された力が、彼の中で確実に動き始めている。


 そこへ、麗がコーヒーを持って入ってきた。

「まだ眠ってないのね。」

「眠れるほど……平和じゃないだろ?」

 軽口を叩くPrince TAIに、麗は小さくため息をつく。


「あなたのそういうところ、昔から変わらないわね。

 ……優しすぎるのよ。」


 Prince TAIは一瞬、視線を上げた。

 その言葉が胸の奥で、何かを刺激する。

 “昔から”――その響きが、千年前の記憶を呼び覚ます。



 ――遠い昔。

 戦火の中、燃える寺院の前で、彼はひとりの女を抱きしめていた。

 「この命が尽きようとも、必ずまた会おう」

 その声と共に、光が弾け、時が止まる。


 そして現代――

 目の前に立つ麗の瞳が、重なる。

 もしかして、彼女は……


「麗、お前……もしかして――」


 言いかけたその瞬間、ドアが乱暴に開いた。

 咲が駆け込んでくる。

「Prince TAIっ!! “NEO”が狙われてる!!」


 麗とPrince TAIが同時に立ち上がる。

「闇の継承者たちが、動き出したのか……!」


 咲の顔は蒼白だった。

「外に、黒い車が何台も……まるで包囲みたいに!」


 Prince TAIはジャケットを羽織り、ネクタイを締め直す。

 鏡に映る自分へと静かに言葉を落とす。


「……光と影、どちらも俺の一部だ。なら――両方まとめて制してみせよう。」


 その瞳に、夜明けの光が再び宿る。

 麗と咲が並び立ち、三人は「NEO」のドアを開けた。


 外の世界には、まだ闇が残っていた。

 けれどPrince TAIの歩みは、迷いなくまっすぐだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ