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ホスト太子 〜歌舞伎町の救世主〜  作者: 櫻木サヱ
王子の夜明けII ~新たなる陰影~
22/28

千年の誓い

 夜が明ける寸前の静けさ。

 ネオンの灯りが徐々に色を失い、街の空が淡く白みはじめる。

 Prince TAIはビルの屋上に立ち、吹き抜ける風の中で目を閉じた。


 昨夜の戦闘の余韻がまだ身体に残っている。

 闇の継承者――その言葉が、脳裏に深く焼き付いて離れなかった。


 彼らは千年前、太子としての彼が封じた“古き闇”の残党。

 だが、現代で再びその血が動き始めたということは……

 何者かが封印を解こうとしている。


「……時代を超えても、因縁は終わらないのか」

 Prince TAIは低く呟いた。

 ビルの下では、早朝のトラックが走り抜け、街の喧騒が少しずつ戻り始めていた。



「TAI!」

 声のする方を振り向くと、咲が屋上の階段を駆け上がってくる。

 息を切らしながらも、その瞳は真っすぐだった。


「昨日の……あれ、何だったの? あの光……あなた、普通じゃないよね?」


 Prince TAIは一瞬だけ目を伏せ、そして静かに微笑んだ。

「……普通ではない。けれど、それが“俺”なんだ。」


「なら、どうして一人で戦おうとするの?!」

 咲の声には涙が滲んでいた。


 Prince TAIは一歩、彼女の前に進み出る。

 その手が、咲の頬にそっと触れた。

「守りたいんだ。誰にも傷ついてほしくない。

 ……それが、俺がこの時代に転生した理由だから。」


 咲は言葉を失い、ただ彼を見つめた。

 その瞳に映るのは、過去と未来を背負った一人の男の覚悟。



 そこへ麗が現れる。

 朝日が差し込み、彼女の銀髪がきらめいた。


「Prince TAI、あの闇の力……本気を出せば、あなたの身体を蝕む。わかってるの?」


 彼は短く頷いた。

「わかってる。でも、それでも構わない。」


 麗の瞳がわずかに揺れる。

「……千年前と、何も変わらないのね。あなたはいつも、自分を犠牲にしてばかり。」


 Prince TAIは空を見上げた。

 東の空、雲の隙間から光が射し込み、街をゆっくりと照らしていく。

 その光の中で、彼は小さく笑った。


「麗……咲……

 俺が千年前に果たせなかった誓いを、今度こそ果たす。

 守りたい人を、守り抜く。それが俺の――“千年の誓い”だ。」


 風が吹き抜け、ネオンの残光が朝日に溶けて消える。

 その瞬間、三人の間に新たな絆が芽生えていた。


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