千年の誓い
夜が明ける寸前の静けさ。
ネオンの灯りが徐々に色を失い、街の空が淡く白みはじめる。
Prince TAIはビルの屋上に立ち、吹き抜ける風の中で目を閉じた。
昨夜の戦闘の余韻がまだ身体に残っている。
闇の継承者――その言葉が、脳裏に深く焼き付いて離れなかった。
彼らは千年前、太子としての彼が封じた“古き闇”の残党。
だが、現代で再びその血が動き始めたということは……
何者かが封印を解こうとしている。
「……時代を超えても、因縁は終わらないのか」
Prince TAIは低く呟いた。
ビルの下では、早朝のトラックが走り抜け、街の喧騒が少しずつ戻り始めていた。
⸻
「TAI!」
声のする方を振り向くと、咲が屋上の階段を駆け上がってくる。
息を切らしながらも、その瞳は真っすぐだった。
「昨日の……あれ、何だったの? あの光……あなた、普通じゃないよね?」
Prince TAIは一瞬だけ目を伏せ、そして静かに微笑んだ。
「……普通ではない。けれど、それが“俺”なんだ。」
「なら、どうして一人で戦おうとするの?!」
咲の声には涙が滲んでいた。
Prince TAIは一歩、彼女の前に進み出る。
その手が、咲の頬にそっと触れた。
「守りたいんだ。誰にも傷ついてほしくない。
……それが、俺がこの時代に転生した理由だから。」
咲は言葉を失い、ただ彼を見つめた。
その瞳に映るのは、過去と未来を背負った一人の男の覚悟。
⸻
そこへ麗が現れる。
朝日が差し込み、彼女の銀髪がきらめいた。
「Prince TAI、あの闇の力……本気を出せば、あなたの身体を蝕む。わかってるの?」
彼は短く頷いた。
「わかってる。でも、それでも構わない。」
麗の瞳がわずかに揺れる。
「……千年前と、何も変わらないのね。あなたはいつも、自分を犠牲にしてばかり。」
Prince TAIは空を見上げた。
東の空、雲の隙間から光が射し込み、街をゆっくりと照らしていく。
その光の中で、彼は小さく笑った。
「麗……咲……
俺が千年前に果たせなかった誓いを、今度こそ果たす。
守りたい人を、守り抜く。それが俺の――“千年の誓い”だ。」
風が吹き抜け、ネオンの残光が朝日に溶けて消える。
その瞬間、三人の間に新たな絆が芽生えていた。




