影の再来
夜が明けきらぬ繁華街の裏通り。
濡れたアスファルトに、赤いネオンの光が滲む。
Prince TAI――その背中を、風が掠めた。
誰もいないはずの路地裏で、太子の感覚がわずかにざわつく。
「……来たな。」
声を発した瞬間、空気が歪む。
闇の中から、黒いフードを被った男が現れた。
その瞳には、千年前の記憶に似た冷たい光。
「ようやく見つけた――“太子”」
その言葉に、Prince TAIの眉がわずかに動く。
過去の戦場で見た因縁の名が、記憶の底から甦った。
「……まさか、“左近衛将”か」
男は笑う。
「いいや。俺はその血を継ぐ者だ。お前が封じた“闇”を解き放つために来た」
⸻
クラブ「NEO」の奥では、咲と麗が不穏な気配を察知していた。
咲は携帯を握りしめ、震える声で呟く。
「Prince TAI……まさか、一人で?」
麗はすぐに立ち上がる。
「……行くわよ。今度は私たちの番。」
二人の視線に、迷いはなかった。
⸻
一方その頃、Prince TAIの瞳が夜を切り裂くように光った。
和魂ノ剣の輝きが、胸元に浮かび上がる。
金色の残光が空気を震わせ、風が弾けた。
「千年の夜を越えても、守るべきものは変わらぬ」
声は静かでありながら、どこか神聖な響きを持っていた。
男は嗤う。
「ならば、その覚悟を証明してみせろ。王子――!」
次の瞬間、衝突。
金属の音ではない。
魂と魂がぶつかり合うような、光の閃き。
アスファルトが砕け、風が渦を巻いた。
⸻
咲と麗が駆けつけたとき、路地は既に焦げた匂いに包まれていた。
「Prince TAIっ!」
咲の声に振り向く彼の頬に、一筋の血が流れている。
それでも彼は、穏やかに微笑んだ。
「心配をかけたな。だが……こいつらはまだ序の口だ。」
麗の瞳が揺れる。
「まさか――“闇の継承者”たちが動き始めたの?」
Prince TAIは静かに頷いた。
その目には、夜明けの光が映っていた。




