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ホスト太子 〜歌舞伎町の救世主〜  作者: 櫻木サヱ
夜の新世界✮*。゜
2/16

目覚めたら歌舞伎

――耳がうるさい。

目を開けると、ネオンの海。

夜の街の喧騒、車のクラクション、酔っ払いの笑い声。


「ここは……?」


厩戸皇子は、石畳ではなくアスファルトの上に寝転んでいた。

見上げれば、きらびやかなビルの壁に輝く文字――

《Kabukicho》《Host Club》


「ほすと……くらぶ……?」


身体を起こすと、自分の手が異様に白く滑らかだと気づく。

かつては冠と直衣をまとっていたはずの身体が、今はシャツとジーンズ。

何よりも驚いたのは――鏡に映る自分が、若い。


「……我、十七に戻っておる……?」


その時、キャッチの男が声をかけてきた。

「お兄さん、初めて?いい顔してんな〜。ホスト興味ない?」


「……ほすと?」


「うちの店で働かない?イケメンは金になるぜ!」


胡散臭い笑みに対し、太子は眉をひそめた。

しかし――すれ違う人々の声が、頭に流れ込んできた。


「……上司、うざ……」

「彼、今日も返信くれなかった……」

「死にたい……」

「笑顔でいなきゃ、嫌われる……」


雑多な人々の「心の声」が、太子の脳内に鮮やかに響く。

1400年前と同じ力――**「十人の声を同時に聞き分ける力」**が、今も健在だった。


「……面白い」


太子は微笑んだ。

「その“ほすと”とやら、我が行こう」


キャッチの男は目を丸くした。

こうして聖徳太子、現代ホスト伝説が幕を開ける――。


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