夜の王子と、ふたつの顔
クラブ「NEO」のフロアは、夜の光と音楽に満ち溢れていた。
Prince TAI――太子は、王子のような振る舞いで客を魅了しながらも、心の奥では新たな影に警戒を続けていた。
その影とは、昨夜現れた黒スーツの「闇の執行者」。
その存在は、千年前の因縁をほのめかすように、フロアの空気を微かに震わせている。
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咲がそっと近づく。
「Prince TAI、大丈夫?」
「もちろんだ。だが、そなたの心配は無用だ」
彼は微笑むが、瞳には戦闘態勢の光が宿る。
一方、麗はフロアの隅々を警戒する。
「……また何か仕掛けてきそうね」
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闇の執行者が、Prince TAIの前に静かに歩み寄る。
「……王子よ、千年前の因縁を覚えているか?」
その声には怒りと計算、そして深い哀しみが混ざっていた。
Prince TAIは微笑みを浮かべながら、剣の力を意識的に押さえる。
だが、内心では戦いの準備を整え、二重生活の緊張が走る――
ホストとしての顔と、転生者としての力を使い分ける、まさに“二つの顔”の夜が始まろうとしていた。
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フロアの外、雨に濡れた路地では、さらに新たな影が動く。
Prince TAIを待ち構える闇――その存在は、まだ街の中に潜んでいる。
夜は深まり、王子の夜明けはまだ遠い。
だが、Prince TAIは、守るべき仲間たちのために再び立ち上がる――。




