表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/16

闇に潜む影

翌晩の「NEO」。

 フロアにはいつもの華やかな笑顔と、甘い音楽が満ちている。

 Prince TAI――太子は、王子のような振る舞いで客を魅了しつつ、心の片隅では昨夜の黒い影を警戒していた。


 その影とは――昨日店に現れた、黒スーツの男。

 フロアに入ると、空気が一瞬凍りつき、客たちの視線が彼に集まる。

 Prince TAIは微笑みながらも、その瞳は鋭く相手を見据える。


「……昨夜も出歩いていたのか、Prince TAI」

 男は低く言い放つ。

 声のトーンだけで、何か尋常ではない力を感じさせる。

 その存在に、クラブの空気が微妙に重くなる。



 咲がそっと彼の手を握る。

「Prince TAI、大丈夫?」

「大丈夫だ。そなたの心配は無用」

 彼は優しく微笑むが、内心は戦闘態勢。

 千年前の因縁は、決して消えていない。


 一方、麗は目を細め、フロアの隅々を警戒する。

「……また何か仕掛けてきそうね」

 その直感は正しかった。



 黒スーツの男はPrince TAIの前に進み、低く一礼した。

「私は“闇の執行者”――千年前、お前と因縁のあった者の末裔だ」

 その言葉に、フロアの空気はさらに緊張に包まれる。


「なるほど……ならば、歓迎しよう。ここは戦場ではない。楽しむ場だ」

 Prince TAIは微笑みながら、剣の力を意識的に押さえた。

 だが、内心では戦いの準備を整えている。

 力を隠し、客を守りつつ、敵の動きを探る――これが転生者として生きる彼の二重生活だった。



 男の目が鋭く光る。

「楽しむ場……だと?」

 その声には怒りと計算が混ざり、Prince TAIの胸に警鐘が鳴る。


「そうだ。だが、そなたもまた、この夜を楽しむことができるかもしれぬ」

 Prince TAIは軽く片手を掲げ、微笑む。

 その仕草だけで、店内の客たちは安心し、誰も不安に気づかない。


 咲と麗も、彼の冷静さに少し安堵する。

 だが、二人の心臓も高鳴る――

 彼らの目に映るのは、ただのホストではなく、千年前の転生者としての強者の影だった。



 そして、フロアの外。

 雨に濡れた路地では、新たな影が動く。

 昨夜の戦いを見届けた者、そして次の策を練る者。

 Prince TAIを待ち構える闇は、まだ街の中に潜んでいる――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ