夜明けの誓い
雨上がりの街に朝日が差し込み、ネオンは静かに消えていった。
瓦礫や破れた看板、割れたボトルの残骸が、昨夜の戦いの激しさを物語っている。
だが、街全体はどこか清々しい空気に包まれていた。
PrinceTAIは屋上に立ち、手のひらに残る“和魂ノ剣”の残光を見つめる。
千年前の記憶、戦いの傷、そして守るべきもの――すべてが胸の奥でひとつになった瞬間だった。
「……これが、俺の生きる道か」
微かに微笑み、PrinceTAIは深呼吸をした。
過去の孤独と責任は重かったが、今は仲間がいる。守るべき人がいる。
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屋上の端で、咲がPrinceTAIを見上げていた。
「PrinceTAI……生きててくれてよかった」
雨に濡れた髪が光を反射する。
その瞳には、安堵と尊敬、そして少しの恋心が入り混じっていた。
PrinceTAIは振り返り、優しく微笑む。
「そなたの笑顔があれば、千年の孤独も恐るるに足らぬ」
咲は恥ずかしそうに目を伏せ、けれど胸の奥で温かい気持ちが満ちていくのを感じた。
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その隣に麗も立っていた。
「…… PrinceTAI、あなたの力、すごかったわね」
穏やかな声。だが瞳の奥には、確かな尊敬と信頼が宿っている。
「麗……そなたも無事で何よりだ」
PrinceTAIはそう言って、二人を見守る。
その視線は、仲間たちとの未来を見据えていた。
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クラブ「NEO」のフロアは、昨日の混乱の跡が残っている。
だが、スタッフや仲間たちの手で徐々に片付けが進み、日常が戻りつつあった。
PrinceTAIはその光景を静かに見守りながら、心の中で決める。
「この街、この仲間、この未来……すべてを守る」
かつて飛鳥の世で掲げた“和”の理念は、今や現代の街で、新たな形として生きている。
戦いは終わったが、守るべきものは変わらずそこにある――それが、PrinceTAIの生きる意味となった。
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朝日が街を黄金色に染める。
瓦礫の隙間から、小さな花が一輪、力強く咲いていた。
千年の時を超えた希望と、守るべき絆の象徴のように。
PrinceTAIは深く息を吸い、夜明けの光を胸いっぱいに受けた。
その眼差しには、確かな未来への決意が宿っている。
「さあ、次の戦いも、この光と共に――」
こうして、第1章は幕を閉じる。
だが、PrinceTAIの転生した物語は、まだ始まったばかりだった――。




