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ホスト太子 〜歌舞伎町の救世主〜  作者: 櫻木サヱ
夜の新世界✮*。゜
11/16

夜明けの誓い

雨上がりの街に朝日が差し込み、ネオンは静かに消えていった。

 瓦礫や破れた看板、割れたボトルの残骸が、昨夜の戦いの激しさを物語っている。

 だが、街全体はどこか清々しい空気に包まれていた。


 PrinceTAIは屋上に立ち、手のひらに残る“和魂ノ剣”の残光を見つめる。

 千年前の記憶、戦いの傷、そして守るべきもの――すべてが胸の奥でひとつになった瞬間だった。


「……これが、俺の生きる道か」

 微かに微笑み、PrinceTAIは深呼吸をした。

 過去の孤独と責任は重かったが、今は仲間がいる。守るべき人がいる。



 屋上の端で、咲がPrinceTAIを見上げていた。

「PrinceTAI……生きててくれてよかった」

 雨に濡れた髪が光を反射する。

 その瞳には、安堵と尊敬、そして少しの恋心が入り混じっていた。


 PrinceTAIは振り返り、優しく微笑む。

「そなたの笑顔があれば、千年の孤独も恐るるに足らぬ」


 咲は恥ずかしそうに目を伏せ、けれど胸の奥で温かい気持ちが満ちていくのを感じた。



 その隣に麗も立っていた。

「…… PrinceTAI、あなたの力、すごかったわね」

 穏やかな声。だが瞳の奥には、確かな尊敬と信頼が宿っている。


「麗……そなたも無事で何よりだ」

 PrinceTAIはそう言って、二人を見守る。

 その視線は、仲間たちとの未来を見据えていた。



 クラブ「NEO」のフロアは、昨日の混乱の跡が残っている。

 だが、スタッフや仲間たちの手で徐々に片付けが進み、日常が戻りつつあった。

 PrinceTAIはその光景を静かに見守りながら、心の中で決める。


「この街、この仲間、この未来……すべてを守る」


 かつて飛鳥の世で掲げた“和”の理念は、今や現代の街で、新たな形として生きている。

 戦いは終わったが、守るべきものは変わらずそこにある――それが、PrinceTAIの生きる意味となった。



 朝日が街を黄金色に染める。

 瓦礫の隙間から、小さな花が一輪、力強く咲いていた。

 千年の時を超えた希望と、守るべき絆の象徴のように。


 PrinceTAIは深く息を吸い、夜明けの光を胸いっぱいに受けた。

 その眼差しには、確かな未来への決意が宿っている。


「さあ、次の戦いも、この光と共に――」


 こうして、第1章は幕を閉じる。

 だが、PrinceTAIの転生した物語は、まだ始まったばかりだった――。


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