千年の決着
夜の街を裂く轟音。
PrinceTAIの掌から放たれた金色の光――“和魂ノ剣”が、Jの漆黒の影と衝突する。
「――これで終わりだ、J!」
PrinceTAIの声は震えていない。
千年の宿命を背負う者の決意が、冷たい夜気を震わせる。
「甘い……まだ、俺は終わらん!」
Jの黒い霧が渦巻き、街灯を飲み込むように広がった。
その姿はまるで夜そのもの。
⸻
咲と麗はクラブの屋上に立ち、二人の戦いを見守る。
「PrinceTAI……!」
咲は拳を握りしめる。
「私……信じてる、絶対に勝つって」
「そうね、あたしも」
麗も同じように目を潤ませながら、PrinceTAIを見つめる。
二人の想いが、PrinceTAIの背中に光の翼のように降り注ぐ。
⸻
Jが攻撃を仕掛ける。
PrinceTAIは剣を構え、全力で受け止めた。
金色と漆黒、光と影の衝突が街全体に振動を起こす。
「千年前……俺が敗れた理由は……!」
Jの声に、悔しさと悲しみが混ざる。
「理由は一つだ――守るべきものがあったからだ」
PrinceTAIは剣を振り下ろす。
金色の光がJを包み込み、影を切り裂く。
――その瞬間、PrinceTAIの記憶が一気に蘇った。
千年前、飛鳥の王宮。
敵に囲まれた民を守るため、すべてを犠牲にした自分。
その時、封印した力――“和魂ノ剣”の真の力が目覚めたのだ。
⸻
Jは光の中で姿を止める。
その目に初めて恐怖が宿った。
「……くっ……俺が……」
「お前もまた、転生者だろう? なら理解しろ――守るために戦うのが、力の意味だ」
PrinceTAIの声に、Jの体が徐々に沈黙する。
影が消え、漆黒の霧が溶けていく。
PrinceTAIの剣から放たれた光が夜空を貫き、街を照らした。
⸻
雨上がりの夜明け。
咲と麗が駆け寄る。
PrinceTAIは疲れた表情で二人を見上げるが、瞳には穏やかな光が宿っていた。
「PrinceTAI……すごい……」
咲は思わず抱きつく。
「私も……」
麗もそっとPrinceTAIの肩に手を置く。
二人の想いが、千年の孤独を越えて太子の心に届く。
⸻
PrinceTAIは微笑んだ。
「……これで、すべて終わったわけではない。だが、守るべきものは守れた」
街に朝日が差し込み、ネオンが柔らかく消えていく。
千年の宿命を背負った青年は、現代で新たな生を生きる。
そして、その力は、仲間たちとともに未来を照らす光となった。




