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ホスト太子 〜歌舞伎町の救世主〜  作者: 櫻木サヱ
夜の新世界✮*。゜
10/16

千年の決着

夜の街を裂く轟音。

 PrinceTAIの掌から放たれた金色の光――“和魂ノ剣”が、Jの漆黒の影と衝突する。


「――これで終わりだ、J!」

 PrinceTAIの声は震えていない。

 千年の宿命を背負う者の決意が、冷たい夜気を震わせる。


「甘い……まだ、俺は終わらん!」

 Jの黒い霧が渦巻き、街灯を飲み込むように広がった。

 その姿はまるで夜そのもの。



 咲と麗はクラブの屋上に立ち、二人の戦いを見守る。


「PrinceTAI……!」

 咲は拳を握りしめる。

「私……信じてる、絶対に勝つって」


「そうね、あたしも」

 麗も同じように目を潤ませながら、PrinceTAIを見つめる。

 二人の想いが、PrinceTAIの背中に光の翼のように降り注ぐ。



 Jが攻撃を仕掛ける。

 PrinceTAIは剣を構え、全力で受け止めた。

 金色と漆黒、光と影の衝突が街全体に振動を起こす。


「千年前……俺が敗れた理由は……!」

 Jの声に、悔しさと悲しみが混ざる。


「理由は一つだ――守るべきものがあったからだ」

 PrinceTAIは剣を振り下ろす。

 金色の光がJを包み込み、影を切り裂く。


 ――その瞬間、PrinceTAIの記憶が一気に蘇った。


千年前、飛鳥の王宮。

敵に囲まれた民を守るため、すべてを犠牲にした自分。

その時、封印した力――“和魂ノ剣”の真の力が目覚めたのだ。



 Jは光の中で姿を止める。

 その目に初めて恐怖が宿った。

「……くっ……俺が……」


「お前もまた、転生者だろう? なら理解しろ――守るために戦うのが、力の意味だ」

 PrinceTAIの声に、Jの体が徐々に沈黙する。


 影が消え、漆黒の霧が溶けていく。

 PrinceTAIの剣から放たれた光が夜空を貫き、街を照らした。



 雨上がりの夜明け。

 咲と麗が駆け寄る。

 PrinceTAIは疲れた表情で二人を見上げるが、瞳には穏やかな光が宿っていた。


「PrinceTAI……すごい……」

 咲は思わず抱きつく。


「私も……」

 麗もそっとPrinceTAIの肩に手を置く。

 二人の想いが、千年の孤独を越えて太子の心に届く。



 PrinceTAIは微笑んだ。

「……これで、すべて終わったわけではない。だが、守るべきものは守れた」


 街に朝日が差し込み、ネオンが柔らかく消えていく。

 千年の宿命を背負った青年は、現代で新たな生を生きる。

 そして、その力は、仲間たちとともに未来を照らす光となった。


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