可愛いが過ぎる…
初夜の翌朝のヴァングラスとミリアムのお話です。
糖分多めです ♪
誰かが私のほっぺを愛しげにチョンチョンとつつく。
私はくすぐったくて、目の前の温かなものに顔を埋めた。
すぐにギュッと抱き寄せられると、温かくてトクントクンと音がする。
はぁ、安心する。
そして、段々目が覚めてきた。
そうだ!昨日は初夜だったんだ!
私はやっと目を開けると、私を抱き寄せながら頬杖をついて優しく微笑んでるヴァングラスがいた。
「おはよう、ミリー。体は辛いところない?」
ヴァングラスが自然に私の唇にチュッと軽く口づけた。
私も自然に受け止める。
そして、私は昨夜の事を思い出してボンッと真っ赤になった。
何か、何か、何か、すごかった!
口づけもその後も何かもう全部……。
うん、すごかったとしか言葉に出来ない。
「ヴァン様が優しくしてくださったので、どこも辛いところはありません」
私はヴァングラスの胸にスリと頬をくっつけた。
何だろう、昨日と今日では何かが違う。
ヴァングラスとの垣根というか境界線というか、それが全くなくなった感じがする。
私はヴァングラスの全てを受け入れられるし、逆に彼は私の全てを受け入れてくれる安心感があるのだ。
私はヴァングラスのもので、ヴァングラスは私のものになったと肌で感じている。
あれ?そういえば私はいつの間に夜着を着たのだろう?
ヴァングラスにナイトドレスも下履きも脱がされて裸だったはずだが?
それにあの後にしては体がサラリとしているような?
「ヴァン様、私はいつの間に夜着を着たのでしょう?体も何かサラリとしてます」
「ああ、ミリーは意識を飛ばしてしまったから、体を拭いて新しい夜着を着せたんだ」
体を拭いた!?
いやいや、ヴァングラスには見られてないところも、触れられてないところもないのだからそれぐらい……いや、でもやっぱり恥ずかしい。
「ありがとうございます」
私は赤くなってもじもじと言った。
ヴァングラスが私を真顔で見つめる。
「ミリー、私の我慢を試してる?そんな顔をしたら、また触れたくなる」
「私はかまいませんよ?ヴァン様に触れられると幸せな気持ちになります」
私はヴァングラスの頬に片手を添えてその目を覗き込んだ。
ヴァングラスが私の上に覆い被さる。
ゆっくり唇を割られ舌を差し込まれ、
そして、
グゥッと私のお腹が鳴った…。
ヴァングラスが私を抱きしめてクスクス笑った。
もう!もう!どうしてこのタイミングで!私の腹の虫ー!
「お腹空いたね」
「いえ、違うのです。気のせいです!」
ヴァングラスは私のおでこにコツンとおでこをつけた。
「朝食を摂った後もたっぷり時間はあるよ?」
昨日からヴァングラスの色気がすごい。
「はい。本当はお腹ペコペコです」
朝食はヴァングラスのお部屋の方にもう準備してあるらしい。
ヴァングラスは私をお姫様抱っこして運び、そのまま膝にのせた。
「これではヴァン様にアーンがしづらいです。下ろしてくださいませ」
「今日はダメ。全部私にやらせて?」
どうやらヴァングラスは甘やかしたいスイッチが入ってしまっているようだ。
そして、私も今日は甘やかされたいスイッチが全開になっている。
私はニコニコと口を開けた。
「可愛いが過ぎる……」
ヴァングラスは小さく何か呟き、私の頬に鼻にと顔中にキスをする。
私はチュッチュッと音がするたびに心がホコホコしてクスクス笑った。
私もお返しに目の前にあったヴァングラスのあごにチュッとする。
あれ?チクチク?
私はヴァングラスのあごをサリサリと触る。
あ、おヒゲだ!
初めての発見にテンションが上がる。
「ヴァン様!おヒゲです!チクチクです!」
「うん。まだ今日は剃ってないからね」
ヴァングラスが手のひらであごをさする。
その仕草が男臭くてドキドキした。
そうか、これからはこんな彼の姿も見られるのか。
私は嬉しくてその胸に抱きついた。
そんな私をヴァングラスが優しく抱きしめて耳元で囁く。
「ミリー、愛してるよ」
「はい、私も愛してます」
そして、私はそっと目を閉じた。
朝食を食べるのはもう少し後になりそうだ……。
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こちらのお話はムーンさんに投稿している「孫までいる33歳辺境伯に嫁いだけどすごい幸せですR18」の方にも加筆して投稿する予定です。
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